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自動化の切り札『WES』
YEデジタルが物流現場を変える

2022年08月22日/物流最前線

20220822 ye icatch - 物流最前線/YEデジタルトップインタビュー

労働力不足、働き方改革、物量変動への対応等、物流現場で生じる課題の解決には、今や自動化設備の導入が不可欠となっている。一方で、物流現場ではWMS(倉庫管理システム)が複雑化し、システム変更にかかる時間とコストの増加が自動化の障壁になっている。この課題を解決する手段として近年注目を集めるのがWES(倉庫実行システム)だ。このたび、物流現場の自動化やシステム化を37年にわたって支援してきたYEデジタルが、満を持してパッケージ型WES「MMLogiStation(エムエム ロジステーション)」の提供を開始した。「MMLogiStation」は、物流倉庫の自動化促進に特化したシステムだ。同社の玉井 裕治社長に、WESが物流現場で果たす役割と、「MMLogiStation」にかける思いを語ってもらった。
取材:7月19日 於:YEデジタル三田オフィス

<玉井社長>
20220822 ye01 - 物流最前線/YEデジタルトップインタビュー

物流業界が注目するWESとは

――  御社の名前は旧称の方がなじみ深い方が多いのでは。

玉井  そうかも知れませんね。当社は2019年に社名を安川情報システムから現在のYEデジタルに変更しました。安川情報システムは1978年に安川電機の情報処理部門が分離独立して設立された会社で、創業以来、製造業の基幹システムの導入や運用、ライン制御、製品組み込みなど、製造現場の支援を中心に事業を展開してきました。IoTの黎明期である2005年頃からは、機械と機械をつなぐM2M(マシン トゥ マシン)の分野でもIoTベンダーとしてビジネス展開を始めており、近年はデジタル社会の広がりを受けて、製造業のほかにも物流や食品、農業、交通といった幅広い分野へ領域を拡げています。

――  玉井さんは今年の5月に社長に就任されました。

玉井  私は新卒で当社に入社し、入社当時は組み込みの技術者として株主である安川電機の製品開発をしていました。そこから10年ほど過ぎた32歳の時に営業に転身しまして、以来ずっと営業職です。その当時、当社には新しい製品を企画・制作する新規事業部という部署がありまして、そこで自ら企画した製品を販売していたのが営業の始まりです。半導体工場でさまざまなメーカーの製造装置を共通言語でつなぐプロトコルコンバーターという製品を販売していました。それ以降はIoTやM2Mなどの営業を手がけてきました。

――  御社ではいつ頃から物流ソリューションを提供しているのですか。

玉井  意外にも歴史が長く、私が1986年に新卒で当社へ入社した時にはすでに提供が始まっています。歴史を紐解くと、FA事業部の一部として1985年頃には自動倉庫のシステムを手がけています。そこから37年にわたり、約250社以上の顧客の自動倉庫システムや自動化設備のシステム構築を手がけてきました。これらの仕事は、主にマテハン機器メーカーさんの下で行ってきたものですが、技術と品質が評価され、四半世紀以上経った現在でもお付き合いが続いている顧客が多くいます。

――  2021年11月には物流倉庫の自動化促進に特化したWES「MMLogiStation」の提供を開始しています。

玉井  これまで、当社で手がけてきた物流システム関連の仕事は、技術軸で顧客との信頼関係を築き、以降はリピートで仕事を獲得するスタイルでした。今回、そこから一歩踏み出して、物流向けソリューションに本格参入するための製品として開発したのが「MMLogiStation」です。

――  そもそもWESとはどんな役割を持つシステムなのでしょうか。

玉井  WESは、WMS(倉庫管理システム)と倉庫内の設備のリアルタイム制御を行うWCS(倉庫制御システム)の中間に位置するもので、倉庫内の設備と作業の管理に特化したシステムです。現場の制御と管理をWMSからWESへ分離することで、役割がシンプルになり、業務の変化や自動化機器の導入に対応しやすくなります。

日本では2021年頃から普及が始まっており、トラスコ中山さんがGROUNDの「GWES」を物流センターに採用した事例は、ご存じの方も多いのではないでしょうか。2022年に入ってからは日立物流ソフトウェアやセイノー情報サービスといった大手のWMSベンダーも、こちらはWESという明確な表現こそしていませんが、自動化設備を簡単につなげる仕組みづくりに力を入れてきているといった状況です。日本では今まさに注目が集まりつつあるといった段階で、物流現場の自動化の進展とともに今後採用する企業の増加が見込まれています。

――  物流現場の自動化で先行している諸外国の状況は。

玉井  欧州と米国を中心に導入が先行していますね。ベンダーとしては、マンハッタン・アソシエイツ社が最大手で日本市場にも参入を開始しています。WESの利用状況としては、例えばアマゾンの倉庫では、何台ものロボットが商品棚を搬送しています。表向きにはWESを使っているということは情報公開されていませんが、 おそらく独自のWESを使用していると思われます。

WESには自動化機器をつなぐほかにもう1つ大きな役割があって、それは現場のデータをWMSに伝えるということです。アマゾンのようなECサイトでは、注文した荷物が予定通りに顧客の元に届きますが、これは倉庫内の状況と、倉庫現場で指示されてからトラックに積まれるまでに、どの程度の時間を要するかというデータが正しく活用されて、はじめて可能になることですので、やはりWESが実装されているのではと思いますね。

<WESの果たす役割>
20220822 ye02 - 物流最前線/YEデジタルトップインタビュー

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