LNEWSは、物流・ロジスティクス・SCM分野の最新ニュースを発信しています。





国交省/多重下請構造実態明らかに、料金10%引きで7割下請へ

2023年04月27日/3PL・物流企業

経産省、国交省および農水省が実施する「持続可能な物流の実現に向けた検討会」第8回が4月27日に行われ、トラック輸送における多重下請け構造の実態等が明らかとなった。

国交省が全日本トラック協会を通じ実施したアンケート(4401回答)によると、7割の事業者が下請のトラック事業者を利用していると回答し、下請金額は受託金額の「約90%以上」。下請を利用する理由は「自社のトラックドライバーが不足」、「荷主からの突発的な運送依頼」が多かった。また、「他のトラック事業者からの依頼」について8割以上が「ある」と回答。このうち約半数がさらに他の事業者に委託している。

<下請利用状況>

20230427keisansy4 520x338 - 国交省/多重下請構造実態明らかに、料金10%引きで7割下請へ

 

下請構造については、中小零細ほど3次請け以上となっている割合が高くなる傾向があり、事業者数ベースでみると、より多くの事業者が3次受け以上になっている可能性があることがわかった。

<下請構造>

20230427keisansyo3 520x328 - 国交省/多重下請構造実態明らかに、料金10%引きで7割下請へ

契約の書面化に関しては、真荷主との契約、トラック事業者同士の契約の両方で、ほとんどの契約が書面化されており、運送日時や運賃・料金は書面化されている割合が高いが、附帯業務料金や燃料サーチャージについては、書面化されていない割合が高い。また、トラック事業者間の契約では、資本金が少ないほど書面化されていないと回答する事業者が多かった。

<契約の書面化の状況>

20230427keisansyo2 520x367 - 国交省/多重下請構造実態明らかに、料金10%引きで7割下請へ

附帯業務の状況では、約半数以上の事業者が「契約書に記載のない附帯業務があった」と回答しており、さらにフォークリフトでの荷役について8割以上が「ある」という状況だ。にもかかわらず、真荷主との書面化については、運送日時や運賃・料金は書面化されているが、附帯業務料金や燃料サーチャージについては、書面化されていない割合が高い。

同調査をふまえ、取引環境を改善するため、トラック運送事業者に対し「建設業法」を参考に元請運送事業者に対し、「運送体制台帳(下請運送事業者リスト)」の作成を義務付けること等の新措置案が示された。また、事業者同士の契約については、附帯業務やその料金、燃料サーチャージについて「内航海運業法」を参考に、契約内容を書面で交付することを義務付ける措置案が提示された。

これに対し全日本トラック協会から馬渡雅敏 副会長が登壇。特に中小事業者において「下請としての事業が多く、適正な運賃・料金の収受が進まず、ドライバーを確保できない」との課題をふまえ、手荷役、長い待機時間など労働環境の改善と、標準的な運賃の考え方に基づく運賃収受を強く求めた。また、新措置案については「事業者にとって過度な負担とならないよう実効性のある仕組み」を、とした。

具体的には、受発注における契約について契約関係のない着荷主が入ること、そのための書面の交付や電子データ等デジタル化の推進。運賃や事業者が負担している有料道路利用料や契約にない附帯業務・荷役作業などの料金等を確実に収受できる実効性の伴う措置など。「実運賃を確実に収受できる実効性の伴う措置を求めたい。高速道路を使った場合、今でも勝手に乗ったんでしょ、といわれることが多い。多重下請構造については、下請をどこまで規制できるか難しいが、実運送を担う事業者が標準的な運賃と料金を収受できる仕組みとなることが大切だ」と訴えた。また荷主側へ、営業用トラックは積載効率において自家用トラック(白ナンバー)と明確な差があることから、自営転換(緑ナンバー)転換を促す措置の検討や、十分なリードタイムを確保することなどを要請した。

さらにこれらの取組みには、荷主企業や消費者への周知が不可欠であり、「我々は黒子のような存在だが、送料は無料ではない、ということを理解してほしい。送料無料は誤解を与え困っている。2024年問題、持続可能な物流の実現へ、すべてはドライバー不足解消と業界の健全な存続のために適正な料金・運賃収受をお願いしたい」と呼びかけた。

検討会では、3月31日に設置された「我が国の物流の革新に関する関係閣僚会議」についても触れ、「これまでの検討内容を反映して、政策パッケージを作成する」ことを明らかにした。同会議は2024年問題をふまえ、岸田総理が「1年以内に具体的成果が得られるよう、対策の効果を定量化しつつ、6月上旬を目途に、緊急に取り組むべき抜本的・総合的な対策をまとめる」と指示したもの。同検討会はあと2回開催予定だが、スピード感を持ちながらも実効性のあるものとしていく考えだ。

関連記事

3PL・物流企業に関する最新ニュース

最新ニュース