国土交通省物流・自動車局物流政策課は11月22日、「官民物流標準化懇談会 モーダルシフト推進・標準化分科会」において、「新たなモーダルシフトに向けた対応方策」をとりまとめ公表した。
2023年6月2日にとりまとめられた「物流革新に向けた政策パッケージ」を受け、「官民物流標準化懇談会」の下にモーダルシフトの推進及びコンテナ等の導入促進について重点的に議論・検討する「モーダルシフト推進・標準化分科会」を2023年7月に設置し、同年11月には「各検討事項に関する方向性と施策」をとりまとめたところ。
その後の分科会での議論等を踏まえ、2030年度に不足する輸送力 34%の解消をより確かなものとすべく、従来のトラック輸送から鉄道と内航海運へのモーダルシフトに加えて、陸・海・空のあらゆる輸送モードを総動員して、トラックドライバー不足や物流網の障害などに対応するための「新たなモーダルシフトに向けた対応方策」をとりまとめたもの。
それによると、まず「鉄道と内航海運へのモーダルシフトの取組の更なる強化」を挙げている。そのために、鉄道と内航海運の共通課題として、小口貨物の混載輸送やパレット化、大型コンテナ・シャーシ等の確保、けん引免許の取得を支援するとともに、輸送余力等をより広い対象に見える化したシステムの導入等を図る。また、鉄道による貨物輸送については、貨物駅のコンテナホームの拡幅、線路改良、路盤強化等の施設整備に向けた支援、代行輸送の拠点となる貨物駅での円滑な積み替えを可能とする施設整備、新幹線等の貨客混載による車両スペースの有効活用を推進するとしている。さらに、内航海運について、新船の投入や船舶の大型化、新規需要の創出に向けた取組に対する支援、内航フェリー・RORO船ターミナルの機能強化、海技人材の確保を進めるための海技士資格の取得ルートの多様化や制度の改善等を推進するとしている。
「多様な輸送モードの活用」では、中小事業者を念頭に置いたダブル連結トラックの導入支援、高速道路における自動運転トラックの実証実験に対する支援、社会実装に向けた支援制度の検討、航空貨物輸送の更なる活用に向けた取組の支援や受入体制の確保を推進する。
「地域の産業政策・地域政策等との連携」では、地域の産業振興等と連携した新モーダルシフトや地域の物流ネットワークの再構築を実現するため、地域物流の核となる拠点の整備等に向けて地方自治体や産業団体・経済団体、荷主企業、物流事業者等が協働する先進的な取組を支援するとしている。
これらの対応方策について、現時点では具体的な目標が定められていないダブル連結トラック、航空貨物輸送についても、今後10年程度で(2030年代前半までに)輸送量・輸送分担率を倍増させることを視野に入れて取組を進めることとし、その進捗状況等を適時フォローアップするとともに、政府の中長期計画に記載された目標の見直しとタイミングと合わせ、必要な見直しを実施。
そして、新モーダルシフトの推進に当たっては、荷主等に対して、輸送力不足や環境負荷軽減への貢献についてのメリットを精力的に発信するとしている。