NEDOは3月4日、マグナ・ワイヤレス、大阪大学、国立研究開発法人情報通信研究機構(NICT)と共同で、世界初となる超低遅延通信を実現する「ポスト5G対応半導体チップ」(以下、ポスト5Gチップ)を開発したと発表した。ポスト5Gチップは、5G無線通信の処理時間(遅延時間)を従来の約10ミリ秒から0.2ミリ秒以下へと50分の1に短縮する。これにより超低遅延が要求される制御信号などにも無線通信の適用が可能となる。
具体的には、人工知能(AI)サーバーからローカル5G無線通信を介してロボットをリアルタイムに制御できるようになるため、スマート工場、物流、医療など、産業分野におけるローカル5Gの普及拡大と産業DXの加速が期待される。またエッジ(端末)とAIサーバがリアルタイムに連携した次世代ネットワークにより、高度なAI活用の拡大も見込まれる。
同事業は、NEDO委託の委託事業である「ポスト5G情報通信システム基盤強化研究開発事業」として2021年度から共同で取り組んできた。5Gは、高速大容量、超多数接続、超低遅延の3つの特徴を持ち、これらの特性は本来トレードオフの関係にある。また、産業用途に必要な数ミリ秒以下の超低遅延通信に対応した半導体チップは提供されていなかったという。このため多くの用途に無線が適用できず、産業活用が期待されるローカル5Gの普及が進まない1つの要因となっていた。
マグナ・ワイヤレスは、2025年度中にポスト5Gチップを製品化する計画だ。
NEDOは、今後もポスト5Gに対応した情報通信システムの中核となる技術を開発することで、日本のポスト5G情報通信システムの開発および製造基盤の強化を目指す。