東海旅客鉄道(JR東海)とジェイアール東海物流(JR東海物流)は、東海国立大学機構名古屋大学、来栖川電算、Doog(ドーグ)と共同で、駅構内などの人の流れを正確に測定・解析できる「大規模人流計測システム」を開発したと発表した。
これまで、同グループは安全の確保を第一に駅空間の利便性や快適性を損なうことなく駅構内の物流作業を自動化することを目標に、自動搬送ロボット活用に向けた開発を進めてきた。今後、駅利用者がいる中での実証試験の検討を進め、実用化を目指す。
「自動搬送ロボット(試作機)」の概要は、Doog製の自動搬送ロボット「サウザー」をベースに、混雑する駅環境で使用した場合のリスクアセスメント結果を踏まえ、更なる安全性向上のため、接触検知センサの追加設置など、機能改良を行った。
今回の開発では、モニターに顔を表示するなど、駅利用客が気付きやすく、親しみやすくするための各種ヒューマンマシンインターフェース(HMI)を新たに開発・実装した。
「大規模人流計測システム」の概要は、自動搬送ロボットが駅構内を走行した際の利用客の流動への影響を継続的に計測するために使用。駅コンコースの天井に3D-LiDARセンサを複数設置して、エリア内の人や構造物の3次元位置情報を取得し、AI等を活用して各人が歩いた軌跡を導き出す。これをもとに、広範囲・高密度な駅環境下において、人の動きを把握・分析できるシステムを構築した。
このシステムは非常に高い精度があり、将来的には、人流を予測し、その結果を踏まえた最適な移動ルートをロボットが設定することも視野に入れて検討を進めていく。将来の実用化に向けて、名古屋駅等の人流が多い駅での実証試験を、今年度内を目標に実施することを検討している。
検討推進体制は、JR東海が、技術開発・試験・評価、JR東海物流が物流業務を担うグループ会社、名古屋大学がHMIの検討・製作・評価、人流分析、来栖川電算が人流計測システムの構築、Doogが自動搬送ロボットの機能改良を担当する。
なお、駅構内の店舗には毎日多くの商品を運搬・供給する必要があり、JR東海物流が担当している名古屋駅の場合、繁忙期では1日あたりトラック約40台分の商品を、手押しの運搬車を用いて20名で延べ160回に分けて運搬していることから、多くの労力がかかっている。また、労働力人口が減少していく中で将来的に作業員の確保が難しくなることも想定される。そのため、今後も継続してサービスを提供するためには、自動搬送ロボットを導入する等して、人に頼らない業務体制の整備や経験のない作業員でも運搬作業をできるようにすることが必要だとしている。
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