日立製作所は9月11日、米国子会社であるGlobalLogicと、Flexware Innovation(Flexware)は、日立レールが米国メリーランド州ヘイガーズタウンに新設した鉄道車両製造の最先端デジタル工場に、Flexware Innovationの社内物流ソフトウェア「LIFT」を導入したと発表した。
導入したLIFT 3.0は、FlexwareがGlobalLogicと、その戦略的デザイン部門であるMethodと共同開発した、Flexwareにとって初の完全自社開発製品で、2025年5月に発表。MHIの調査によると、サプライチェーンのリーダーの41%がロボットや自動化技術を導入済みであり、42%が今後5年以内に導入を予定している。
しかし、導入が急増しているにもかかわらず、これらの技術が互いに連携しないことが多いという課題が残っている。 この断片化により、相互運用性のギャップ、オーケストレーションの課題、安全性の懸念、効率向上の停滞が生じている。
LIFT 3.0は、この根本的な課題に直接対応し、日立レールの高度にデジタル化された工場のような複雑な製造環境において、シームレスな統合を可能にする。このデジタル工場には、最新の積層造形技術やAIロボットを含む3000万ドル以上のデジタル投資が施されている。
工場は、日立レールが構築し、Hitachi Digital、GlobalLogic、Hitachi Digital Servicesの専門知識を活用して、フィジカルAIを具現化。継続的な改善プロセスである「Digital Kaizen(デジタル改善)」を通じて、卓越した運用を実現した、日立グループの総合力と独自性を生かしたOne Hitachiの取り組みとしている。
工場では、LIFTは、倉庫から複数の作業セルへの資材移動を自動搬送車(AGV)でオーケストレーションするために導入されている。これを実現するために、LIFTは日立レールの倉庫管理システム(WMS)およびAGVのフリート管理システム(FMS)と統合されており、入庫資材要求の受信、AGVへの指令の送信、完了後のWMSへのステータス報告を行う。LIFTはまた、システムの稼働状況の監視や、例外・アラートの処理も担っている。
GlobalLogicは、LIFT 3.0の性能、信頼性、ユーザー体験の向上に重要な役割を果たした。GlobalLogicのエンジニアリングチームは、より直感的なユーザー体験を設計し、手動と自動を組み合わせた堅ろうなQA戦略により、信頼性を高め、エラーを最小限に抑え、安定した運用を実現した。Methodの体系的なアプローチとともに、これらの貢献により、LIFT 3.0はエンタープライズ対応の強力なソリューションへと進化した。
LIFTは、PLC、SCADA、ERP、MES、WMSなど、工場内のさまざまな技術をつなぐ「見えない接着剤」として機能する、システム非依存型の社内物流プラットフォーム。製造・倉庫業界のデジタル変革を支援する基盤として、サイロ化の解消、安全性の向上、米国製造業の近代化を加速させる。LIFTは、月最大20両の鉄道車両を生産可能な30万平方フィートの新工場における重要なオーケストレーションレイヤーとなる。
Flexware Innovation創業者でありアドバイザーのScott Whitlock(スコット・ウィットロック)は「現在の製造・倉庫環境では、レガシーソフトウェアからフォークリフト、次世代ロボットまでさまざまなシステムが混在しているが、それらが効果的に連携することは容易ではない。これは統合の問題だけでなく、作業者の安全にも関わる問題。LIFTが日立レールの新工場に採用されたことは、次世代のスマートマニュファクチャリングを支える力があることを証明している」と述べている。
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