ノンデスク事業者向け人材採用システム「クロスワーク」を提供するX Mile(クロスマイル)は5月21日、物流業界の働き方について、「地方での就労・定着」に着目した独自調査の結果を公表した。
全国の物流事業の経営者・役員185人と、トラックドライバー720人の計905人を対象に、3月に実施したアンケート。
地方出身ドライバーの5割が「収入が同等以上なら地元に戻りたい」と思っていることや、事業者側では地元を離れて働く人たちへの定着サポートが不足している実態が明らかになった。
調査では地方出身ドライバーに、地元に戻って働く際に求める条件を尋ね、439人が回答。トップは「現在と同等以上の収入がある」で52.6%を占めた。
続いて「希望する職種・業種の求人がある」(44.2%)、「生活費が安い」(31.0%)などが上位に入り、「地元への愛着がある」(13.7%)といった故郷への思いよりも、安定した収入や生活環境を優先されている。
一方、地方就職者に対する事業者側の支援は手厚くない。
地元を離れ都市部へ出て就職する求職者に対する採用後の支援について物流事業者に尋ねると、「特に何もしていない」が4割を超えた。交通費の補助や住宅手当の支給も行われてはいるものの、実施は低調だった。
事業者の取り組みをエリア別に見てみると、サポートがないと回答した割合が最も高かったのは東北地方で78.6%に上った。四国地方(55.6%)や九州地方(57.1%)も高かった。
さらに、トラックドライバー未経験者に対する受け入れ支援があるか尋ねると、「特に何もしていない」との回答が最も多かったのは東北地方(50.0%)。
しかし中部、近畿、北海道地方では、社会保険完備に加え、業務に必要な大型免許やフォークリフト等の資格取得支援制度の導入、有給休暇の取得促進など、充実した取り組みが見られた。
人材確保の観点から、若年女性の人口流出に対する経営者らの認識ついても地域別に分析した。
「深刻な問題だと感じている」と回答した割合は、四国、中国、近畿地方で4~5割と高く、将来の活力低下や担い手不足への懸念がうかがえる。
「女性が活躍できる場の増加が若者の地元残留につながる」という期待感については、関東地方が最も高く、中部、四国、近畿地方が続いた。
ただ、人口流出に関しては女性に限らず男性についても問題視されており、特に九州と四国地方で割合が高かった。
調査ではこのほか、ドライバー採用におてハローワーク、合同説明会の出展、総合求人サイト、ドライバー特化型求人サイトなど、オフライン・オンラインそれぞれどのような手法が利用されているかも分析。
結果を踏まえクロスマイルは、「地方における就労と定着を支えるサポート体制の脆弱性が浮き彫りになった。支援の不足は、従業員の転職や離職を招く要因となりかねず、喫緊の課題としてサポート体制の強化が求められる」としている。
■調査概要
調査期間:2025年3月12~21日
調査方法:インターネット、ウェブアンケート
調査対象:全国20代以上の男女(物流事業者の経営者・役員185人、クロスワークの会員登録者トラックドライバー720人)
■出典:クロスワーク仕事白書2025
https://x-work.jp/journal/driver-working_03
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