日立製作所は10月15日、AIを活用しサプライチェーン計画業務を最適化するシステムをニチレイフーズグループのニチレイ・アイスに導入したと発表した。
システムは、数理最適化技術を活用した日立のLumadaソリューション「計画系業務最適化サービス」として提供するもので、AIを活用して、生産能力など40を超える制約条件を考慮し、約10個の相反するKPIを最適化した計画を立案し、季節変動により需要が大きく左右されるニチレイ・アイスの包装氷の生産・在庫・輸送の計画立案にかかる時間を約70%削減することを確認。
また、詳細な内訳や分析が困難であったコストなどのKPIの可視化も実現した。 加えて、システムへの入力データを見直すだけで、計画修正ができるため、変化の速い需給にもより柔軟かつ迅速に対応する。これにより、計画立案業務の簡素化や脱属人化、および人が見落としがちな制約や相互依存関係を考慮した最適なサプライチェーン計画の立案が可能となり、計画の質の改善にも貢献する。
具体的には、実際の在庫量を考慮しながら、販売見込みや在庫の基準を満たすように「いつ、どこで、何を、どのくらい」生産・輸送・保管(在庫)するかを最適化する。生産計画においては、在庫の水準を踏まえながら、販売および在庫基準を満たす生産量・生産時期を立案する。
輸送計画においては、物流センターなどの拠点別の在庫基準および販売見込みを満たすように、適切なタイミングで適切な拠点に製品を輸送し、積載効率最大化とトラック台数最小化を可能にする。在庫計画においては、拠点別の在庫基準や販売見込みを考慮して、適切な在庫配置を策定する。また、欠品発生アラートや生産量不足アラートなどの異常検知機能も組み合わせることで、現場における運用効率を高めている。
日立は今後、ニチレイフーズやニチレイ・アイスにおけるこのシステムの適用業務範囲を拡大し、より長期間にわたる計画の立案やトラブル発生時の計画修正などの機能の拡充を検討している。
また、日立はサービスを製造業へ幅広く展開するとともに配送計画ソリューションや生産管理ソリューションとの連携も含め、日立のドメインナレッジとAIを用いてデータを価値に変換し、顧客や社会の課題解決に取り組むLumada 3.0として進化させながら、製造業のサプライチェーン全体の統合へと展開をめざす。
これにより、人手不足などの社会課題にも対応し、持続可能で効率的な供給体制の構築を通じて、企業の競争力強化と社会課題の解決に貢献していくとしている。
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