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物流最前線/経営者はロジスティクスを知れ 出井伸之CEO

2019年10月09日/物流最前線

<出井 伸之ファウンダー&CEO>

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日本にはプラットフォーマーがいない

――  アマゾンの登場がさまざまな部分に影響を与えていますね。ITやAIが業務に大きな影響を与えてくる時代になってきました。

出井 アマゾンはITとリアルな部分を融合させるというところからスタートしている。そこがアマゾンの強み。不思議なのは、日本のメーカーはEコマースに対する考え方が古く、量販店が客だと思っているメーカーが未だに多いですね。量販店は良いけど、Eコマースには売りたくないというメーカーの経営者も多い。でも、本当のお客様は一般ユーザーなんだよね。

――  プラットフォームについて、各社からさまざまなものが登場しています。

出井 それこそ20年遅れだね。考え方が違っている。プラットフォームは自然に発達するからこそプラットフォームです。うちのプラットフォームに参加してくださいと企業側は言いますが、サプライヤー側が勝手に作っても成功しないでしょう。プラットフォーマーとは、英語で「両面の触媒」という意味。デュアルサイド、BtoBビジネスとBtoCもしくはCtoCビジネスの真ん中でやるのがプラットフォーマー。ウォルマートはプラットフォーマーではありません。アマゾンやアリババ、あるいはグーグル、アップル、フェイスブック等のGAFA等を指す言葉。プラットフォームの本当の凄さは、そこに顧客データが集まってそのデータが大きな価値を持つことなんだけど、なかなか日本人には理解されにくいよね。

――  日本にはプラットフォーマーはいないと。

出井 いないですね。ただ、ラクスルの松本社長はそのあたりはよく分かっていますね。印刷でラクスル、物流でハコベルを展開している会社ですが、今後が楽しみな会社です。もともと、ブラットフォームについては、ネットが出来た時に、数年でみんな考えついたことです。日本ではようやくですからね。ただ、プラットフォーマーもそろそろ次の段階にきていると思いますよ。

――  現在、ブロックチェーンが話題になっています。

出井 インターネットの時代からブロックチェーンの時代に移行しつつあります。インターネットというのは、情報をコピーし遠心力の連続で広がっていきます。ブロックチェーンは、「求心力」のある信頼性のインターネット(Trusted Internet)です。新しい技術が引き起こす変革は、日本の岸壁的な規制や社会システムを根本から変化させる力となり、新たなビジネスモデルが生まれてきます。インターネットとブロックチェーン、この2つが組み合わさって今後いろいろなアイデアがでてくると思います。

――  日本ではようやくその考え方が広がりつつありますね。

出井 いやいや、まだまだです。日本はかなり重症ですよ。ITもきちんと使えていないですよね。典型的なのは、未だに紙を使ったビジネスが続けられていることです。例えば、領収書や納品書、発注書等を未だに紙でやりとりしている。昭和初期と何も変わっていません。最近は進歩している会社も増えてきましたが、ハンコはまだ使っている。会社をやっていると、何回も印鑑証明を取りに役所にいく。全く無駄だと思います。

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