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RaaSのプラスオートメーション
次代のロジスティクス構築へのチャレンジ

2020年12月24日/物流最前線

<ソーティングロボットシステム「t-Sort」>
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<Rapyuta Roboticsの「PA-AMR」>
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<OSARO社と安川電機のロボットアームソリューション>
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顧客の課題にあわせてロボットを増やす

―― RaaSで提供している「t-Sort」ですが、非常に特徴的なロボットですね。中国製ですが、現地での採用状況は。

山田 EC大手の京東集団や中国郵政が採用しています。中国以外では米国のUSPS(米国郵便公社)がユーザーです。中国郵政もUSPSも、大手EC事業者が発送する大量の貨物の仕分けに利用しているようです。

―― 中国と日本とでは物流に要求される品質水準が異なります。日本向けにカスタマイズした点は。

山田 t-Sortで仕分けする際の荷物の衝撃を吸収するため、スロープやハンモックを使って受け止めたりなどの工夫をしています。その辺りは日本のマテハンメーカーが蓄積した技術を活用しています。

飯間 日本のメーカーが持つコンベア式ソーターの周辺技術を中国のロボットに流用し、ハイブリッド型で課題を解決しています。+Aにはマテハン業界から参画された人もいるので、そういったことも可能になります。

―― 今後もt-Sortをメインに提供していくのでしょうか。

山田 t-Sortが初号機だったというだけで、2号機としてRapyuta Roboticsの「PA-AMR」を採用しましたし、3号機、4号機も候補になるロボットを用意して検証しています。ただし、t-Sortは重量物や大型の荷物に対応したものなどバリエーションが豊富で、t-Sortシリーズという意味ではこれからも主力だと思っています。

<空間を有効活用した富士ロジテック・ネクストの活用事例>
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―― そうなると、これからもさまざまな使い方が出てきそうですね。

山田 出てくると思いますよ。4月に発表した富士ロジテック・ネクストさんの物流センターでも、商品保管棚の上に走路を作ってロボットを走行させるという画期的な使い方をしています。あれは、倉庫高を有効活用するための手段として富士ロジテック・ネクストさん側から提案があり、「それは面白いですね、ぜひやりましょう」といって実現したものです。安全性の検証などに多少時間をかけましたが、それでも非常に短期間で稼働させることができました。

―― 仕分けの自動化については、棚移動型ロボット(AGV)が注目されています。

山田 +AのRaaSとして、将来も含めて全く提供することが無いという訳ではありません。ただ、走行エリア一帯を柵で囲ってしまうため人との共存ができないことや、全停止トラブルの際は密集した棚を動かすことは困難であり、事業継続性の観点で導入ハードルは高いと思っています。

飯間 それに加えて、棚移動型ロボットは先進的な仕組みではありますが、商品の棚入れと棚出しの仕方がとても重要で、そういう部分まで含めたオペレーションの全体設計がないと導入ができないため、利用者側に高い能力が求められます。そういう意味で、導入可能な事業者は販売側や調達側まで含めてしっかりと事業状況を理解されている企業に限定されるのではないかと思っています。

山田 効果が出る使い方もある程度限定されてしまいますね。ロボットが持ってきた棚から一つだけ商品をとって、またロボットが戻っていくというのは非常に非効率です。効率的に運用するためには、色々なものを一度にとれるオペレーションづくり、特に棚入れとオーダーの組み合わせのノウハウが欠かせません。機械を導入する側や、導入をサポートする側の長期にわたる協力が必要になってきます。そのため、棚移動型ロボットはソリューションとして面白いのですが、今の+Aでは複数顧客間で機動的にシェアリングしていくようなサービスとして提供するのは少し難しいかなと思っています。

<ZMPと調達に合意した自動搬送ロボット「CarriRo」>
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―― 今後、提供するロボットの種類は増えていくのでしょうか。

山田 ピッキングはまだまだロボットによる生産性向上の余地が大きい工程なので、t-SortやAMR以外のロボットについても採用を検討していくつもりです。ですが、ピッキングだけを改善しても全体最適化には遠いので、物の流れを整流化していくうえで入庫や出庫の効率化、その中間にある運搬の部分も自動化ソリューションを提供していきたいと思います。

―― 運搬については、ZMPの「CarriRo」を検討中とのことでしたが。

山田 ZMPさんとは、CarriRoの調達に合意しています。CarriRoは短いリードタイムで導入できることが強みですね。今後は顧客の課題解決の手段として合致すれば、そのタイミングで必要な台数を調達することになります。既にt-SortやPA-AMRが稼働中の現場への提案も行っていきます。

飯間 ロボットメーカーはどこか1社と独占的に関係を結ぶのではなく、双方に意義ある協業であれば積極的にさまざまなメーカーとお付き合いをさせていただいています。最近では日本電産シンポさんともRaaSの仕組みについて議論をしています。AGVのメーカーは世界中にもの凄い数があるので、製品性能とサービスの組み合わせでどの会社と組めば顧客の課題解決につながるかを常に考えています。

>次 R&D施設「cube」開設でサポート機能を強化

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