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RaaSのプラスオートメーション
次代のロジスティクス構築へのチャレンジ

2020年12月24日/物流最前線

20201224 plusa icatch 3 520x293 - 物流最前線/+AがRaaSで目指す次代のロジスティクス

昨今、さまざまな業界で耳にするRaaS(Robotics as a Service)という言葉だが、これはロボットをサービスとして提供することを意味する。そのRaaSによって物流業界全体の効率化を推し進めようとしているのがプラスオートメーション(+A)だ。同社は顧客の課題解決を最重要事項に定めた「課題解決型」のRaaSを提供している。「課題解決型」のRaaSとは、同社がRaaSによって目指す物流の未来像とは何か。会社設立の経緯から、足元の事業状況、将来のビジョンまでを飯間 卓社長と山田 章吾COOに伺った。
取材:12月15日 於:プラスオートメーション研究開発施設「cube」

<飯間 卓社長>
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<山田 章吾COO>
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目的は顧客の課題解決、ロボットは手段に過ぎない

―― 2019年11月に+Aの設立が発表されました。会社設立の経緯は。

山田 会社設立ありきではなく、三井物産と日本GLPで物流の自動化サービスについて検討を開始した所から始まりました。それが2018年の8月頃です。そこから半年間、事業性や顧客ニーズ、体制の構築、人員規模など、実現可能性を検証しました。そして、2019年の4月頃に事業化の目途が立ち、同6月に+Aを設立しました。

飯間 日本に限らずグローバルにビジネスを展開している三井物産とGLPで、ロジスティクス業界でどのようなことができるかという議論をしていました。その中で、日本を主戦場として、まずはRaaSの事業性を確認しようという話になりました。

―― 三井物産と日本GLPが協業した理由は。

山田 三井物産では、グループに三井物産グローバルロジスティクスや食品系の流通会社があり、彼らが物流現場の自動化・高度化に取り組んできた経緯があります。また、日本GLPもテクノロジーを活用したハードとソフトのソリューションで物流を最適化していきたいという考えを持っており、両社のビジョンが合致して協業することになりました。

飯間 現在、+Aは豊田自動織機の出資を受けて、3社の共同出資会社となっています。設立間もない時期から大手の事業会社3社が株主になってスタートアップ企業を発足するというのは、事業会社の新規事業、業界横断でのコンソーシアムなど、よくある新規事業の立上げの形とは異なり、異例の取り組みだと思います。純粋なスタートアップ企業とも異なります。新しいチャレンジであり、優位性もあると思います。

<+AのRaaSモデル>
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―― +AのRaaS事業とは。

山田 導入するロボットの台数拡大を追うのではなく、顧客の課題解決に最も適したロボットを提供する「課題解決型」のRaaSとして提案しています。事業の目的は顧客の課題解決であって、ロボットはあくまで顧客の課題を解決するための手段に過ぎないという考え方です。それに、我々は単なるロボットレンタル会社ではなく、レンタルは一機能に過ぎません。RaaSには導入支援やコンサルティング、システムインテグレーション、自社システム提供、保守・メンテナンスも含まれており、かつこれらを月額サブスクリプション型で一括で提供しています。これら全てを内製化しているのが+Aの特徴です。ロボット・システムの販売やレンタル、メンテナンス、システムインテグレーションなど、それぞれを別個に提供している事業者はいますが、コンサルティングを含め一貫したサービスで提供している企業は世界でも稀だと思います。

―― 世界でRaaS事業者はどれ位いるのでしょうか。

飯間 RaaSを提供すると標榜する会社は世界にあると思いますが、実サービスとして展開できている会社は少ないのではないでしょうか。RaaSでも、作業工数単位での従量課金が真のRaaSモデルだと思いますが、そこまで実現できている事業者はまだ少なく、ロボットの期間・台数ベースでの課金を行っている事業者が大多数ですね。作業工数単位でのRaaSというビジネスモデルについて、事業者と利用者との双方でその有用性は認識していても、値付けの感覚が異なっており、今はまだ台数ベースのサブスクリプションで提供されている状態です。+Aでも今はこちらを採用していますが、先々のサブスクリプションの提供単位については内部で検討を続けています。

―― ロボットレンタルだけでなく、一貫したサポートまでを提供するには多くの人員が必要です。

山田 顧客に対してだけではなく、採用においても+Aでは課題解決型の事業という部分を強調しており、顧客に寄り添いながら物流業界全体での高度化というコンセプトに共感する人材が集まっています。現状では、顧客の課題解決が困難だと認識している各要素のプロフェッショナルが、+Aに入ることで課題解決ができるのではと、一人一人が+Aという器で顧客の課題解決を実現するために集まってきたというわけです。

―― なぜ、+Aではレンタルなど単体のサービス提供ではなく、RaaSという形を選択しているのでしょうか。

飯間 +AのRaaSは顧客の課題解決を目的にしていますが、顧客によって本質的な課題が異なるため、ロボットレンタルやシステム構築など一つの要素に特化したサービス提供では課題の解決に結びつかないケースが多いからです。ですので、チャレンジになりますが、まずは全部の要素を内包する事業というものを目指しました。加えて、ロボットをサービスとして提供することで、顧客側は固定費ではなく変動費として決済することができます。設備を購入する場合は予算を通すのに苦労しますが、変動費ならば作業をされる方々を雇う場合と同じ感覚なので、現場の裁量で迅速に導入の意思決定ができるというメリットも生まれます。これが、RaaSという形を選択している意味です。as a Serviceと呼ばれるビジネスモデル一般の特徴だと考えています。

山田 +AのRaaSでは、同じロボットを繁閑期の異なる物流企業で機動的にシェアする仕組みを作っています。この仕組みによって同じロボットを使っている事業者同士を結び付け、倉庫間で協力関係を構築してもらうことで業界全体が活性化することを目指しています。

>次 顧客の課題にあわせてロボットを増やす

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