DXへの対応と、自動化への課題
―― 今後さまざまな自動化を進めていく上での課題とは。
真貝 グループとして、DXへの対応、自動化への取り組みを含めて、新しい技術を取り入れて事業を変革していくことが重要です。そのためには、新しい技術を積極的に取り入れ活用することができる人材と組織を作ることが最も重要です。弊社では2016年、従来の延長線上にはない自由な発想で業務の在り方や仕事の進め方を抜本的に見直すために、「業務創造推進プロジェクト」をスタートしました。これはテーマごとに15のワーキンググループ(WG)からなり、各WGには情報システム部のメンバーが必ず参画し、業務変革について建設的で自由な議論を行っています。すでに35件の具体化が進んでいます。
―― うまく機能すると面白いアイデアが生まれますね。
真貝 そこが狙いです。そのため、役割も明確にしています。技術企画部が各WGでの技術課題について専門的アドバイスをします。また、業務創造推進部が「業務創造推進プロジェクト」のとりまとめを行い、会社の意思決定プロセスに乗せるようにしています。昨年10月には小集団活動・業務研究・提案制度と3つの制度があったボトムアップの活動を見直し、「C&C活動~Challenge and Change~」に統合・一体化しました。そして、C&C活動で生み出された取り組みテーマについて、具体化を図り、成果を出すために、「業務創造推進プロジェクト」に新たなWGを作ったり、既存のWGで検討を深めたり、両者の活動をうまく融合する流れを作り、業務プロセスに新しい技術を導入する素地を作っていったということです。
―― 専門性のある組織同士が自由な発想で結び付くと強力ですね。
真貝 「業務創造推進プロジェクト」や「C&C活動」という自由な発想をする柔らかな組織と、業務創造推進部・情報システム部・技術企画部という専門性を有する部と組織が有機的にかみ合っていけばうことで、事業展開に新しい技術を積極的に取り入れ、活用しデザインできる人材が育っていくものと考えています。
―― 具体的には現在までにどのような取り組みを。
真貝 昨年12月までに次世代情報インフラ整備として、モバイルPC・携帯端末の社員への配備を終え、社員全員がMicrosoft365のIDを持ち、情報の受発信や共有ができる体制を整えています。新型コロナウイルス感染により移動が制限される中で、社内外で不自由なくコミュニケーションや意思決定ができています。これから新しい技術の導入により事業を変革していく際にも、外からの情報取得や外への情報発信を支え、また将来を担う人材を育てていく基盤にしていきたいですね。
―― IT武装を図り、企業の発展のために徹底的に人を育てていこうという考えですね。
真貝 そうですね。現在はまさに「インターネットとデジタル」の時代ですからね。一人ひとりが情報インフラを活用し、積極的に自ら発信し、外からの情報をキャッチし、社内の意思疎通を高め、みんなで課題を解決していくといったグループ社員の意識や行動が、さらに課題解決型なものに変化していくと思っています。
―― 物流業界全体でも自動化、DX対応、ロボット化、IT化といったことが急速に進んでいます。
真貝 コロナ禍の現在、そのスピードは加速しています。物流業界全体の高度化のためにもDX化、自動化等は絶対に欠かせないものです。そのためには、標準化や共通化・共有化が必要で、サプライチェーンに関わる者全体で、企業や業界、物流モードの壁を越え、推進していく必要があります。業界という単位で少しずつ動きも出ていますが、国の戦略としても強力なリーダーシップが求められていると思います。
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