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JR貨物の物流戦略

2021年01月08日/物流最前線

<東京レールゲートWEST>
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<東福山駅新総合事務所>
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<新座貨物ターミナル駅積替ステーションの12ftフォークリフトを使用しての積み替え風景>
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<新座貨物ターミナル駅積替ステーションの積み替えの様子>
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鉄道輸送基軸に総合物流企業グループへ

―― 今後、総合的な物流事業者を目指すとしています。

真貝 現在、5か年計画として「JR貨物グループ中期経営計画2023」で「鉄道輸送を基軸とした総合物流企業グループ」を将来に向け目指す姿として打ち出し、事業展開しています。これまで貨物鉄道事業と不動産事業をそれぞれ発展させ、経営の安定化を図ってきたものの、今後さらに発展するためには、これまでの事業基盤をベースにしつつ、新しいことにも果敢にチャレンジし、社会的価値を持続的に提供していく必要があると考えています。

―― その政策とはどのようなものでしょう。

真貝 グループの総合力を結集し、「全国をつなぐ幹線物流鉄道ネットワークの強靭化」と「貨物駅の物流結節点機能の強化」を図ること。また、その上に、他の輸送モードとの連携を図りつつ、情報ネットワークを整備し、物流プラットフォーマーになるということです。そして、鉄道輸送を基軸としたサプライチェーンを構築することにより、顧客に陸・海・空の最適な物流ソリューションをワンストップで提供し、生産性と付加価値の向上を実現し、社会に貢献することを目指しています。

―― 東京レールゲートEASTの着工等、大型開発が目立ちますが、これらもその戦略の一環ということですね。

真貝 その通りです。物流の強靭化のためには、物流を担う各モードが寸断されることのないような予防措置を講じることと、各モード間の結節を向上させること、各モードが寸断された場合の代替可能性を高めていかなければなりません。「レールゲート」の開発、「積替ステーション」の設置はその核となる部分です。

―― 東京レールゲートEAST、WESTとも鉄道貨物駅直結ですね。

真貝 これは貨物駅の物流結節点機能の強化ということです。これからの物流には、大きな変革が必要です。各モードの強みを活かしつつ、モードをつなぐ結節機能を高めるための標準化や共同化を進め、モード間のデータ連携を図り、効率的かつ柔軟な物流を実現する「フィジカルインターネット」を目指していかなければなりません。基本的に貨物駅は、鉄道モードとトラックモードの物流の結節点としての機能を果たしています。その延長で、船舶モードや航空機モードとも結節しています。それらのモードがつながることで物流は成り立ち、顧客のサプライチェーンを支えていることになります。

―― 今後、結節点の役割を持つ物流施設の整備を進めていくと。

真貝 そうです。例えば「積替ステーション」は、3月に新松山貨物駅、4月に水沢駅、7月に新座貨物ターミナル駅で開業しましたが、今後全国各駅に展開する予定です。一般トラックとコンテナとの安全な雨天対応ができる積替施設ができたことで、トラック・鉄道モード間の結節点を高めるメリットがあります。新座貨物ターミナル駅の積替ステーションでは10社の利用運送事業者と契約を結んでいます。また、「現場」の知恵に基づく「駅のグランドデザイン策定」プロジェクトの第1号として、東福山駅を再構築して新総合事務所を開所し、災害時のBCP対策としての用地も確保しました。

―― 「積替ステーション」の顧客からの評価はいかがですか。

真貝 高い評価をいただいています。特に宅配貨物、引越貨物、飲料、生活雑貨などの品目でニーズが高いです。

―― 顧客のニーズに応えるために、今後貨物駅が大きく変わっていくということですね。

真貝 貨物駅への新技術の導入により、結節機能を高め、物流のシームレス化を図ることにも取り組んでいます。仙台貨物ターミナル駅の新駅への移転をターゲットとして、部署を横断するプロジェクト「新仙台貨物ターミナル駅推進プロジェクト」を立ち上げました。ここではさまざまな新しい技術を導入し、新しいオペレーションを行う貨物駅「Smart Safety Station」を検討しています。また、その検討に先立って、駅作業の高度化や駅構内に出入りする利用運送事業者のトラックドライバーの労働負荷を軽減するために、トラックドライバーが駅構外でも駅の作業状況をリアルタイムで確認できるドライバー向けスマホアプリを開発し、2021年度に試運用を開始する予定です。まさに、未来に向けての貨物駅のグランドデザインを推進している最中です。

―― 駅構内・構外での自動化・効率化の推進ということですね。

真貝 そうです。具体的には、入換機関車の遠隔操作、構内隊列走行トラック、機関車パンタグラフの状態監視装置、コンテナ立体倉庫など15の具体的な作業や設備について、導入すべき新しい技術について検討を進めています。ヨーロッパのいくつかの国ではすでに列車の遠隔操作が実現していますので、ぜひ実現していきたいと思います。

―― 現在、トラックの自動運転の開発が進んでいますが、列車の自動運転の方が現実的だと思うのですが。

真貝 貨物駅はある程度閉鎖空間になっていますから、可能性はありますが、在来線の本線上では、閉鎖空間をどう確保するかという意味でハードルは高いですね。

>次 DXへの対応と、自動化への課題

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