ENEOSホールディングス、ZMP、エニキャリの3社は2月12日、東京都中央区の佃・月島エリアで2月8日から実施している自動宅配ロボットを活用したデリバリー実証実験について、オンライン会見で進捗や今後の展望を説明した。
実証実験では、佃・月島エリアにあるENEOSのSS(サービスステーション)にZMPの自動宅配ロボット「デリロ(DeliRo)」を2台設置。エニキャリの注文・宅配プラットフォームを用いて、同エリア内にある3棟のマンションの住民から注文を受けた商品をデリロによって宅配する。配送できる商品は、実証実験に協力する周辺店舗10店の食品が対象で、1回の配送に297円(税込)の利用料がかかる。
デリロには1台につき4つの荷物ボックスが付いており、一度に最大4つまでの荷物を同時に運ぶことが可能。時速4km/hで歩道を走行し、SSから800m程離れたマンション群へ15分程で商品を配送する。ロボットを活用して複数店舗の商品を複数の顧客へ配送する取り組みは、国内で初の試みだ。
なお、ZMPは佃・月島エリアで自動運転一人乗りロボ「RakuRo(ラクロ)」による公道走行を先行実施しており、この実績が評価され、デリロについて1月から「歩行者」としての認定を受けている。従来、デリロは原動機付自転車に該当していたが、歩行者になることで公道走行におけるさまざまな要件が緩和されている。
<公道を走行中のデリロ。現在は人が追従しながら走行を監視している>
2月8日~26日までの期間で実施している実証実験は、ロボットデリバリーサービスの実用化に向けた第1フェーズにあたり、配送の価格やスピード等のビジネス性、ロボットによる公道走行技術、宅配プラットフォームとの連携技術の大きく3つの内容を検証する。
2月12日現在では、1日あたり2~3件を配送。開始からまだ日が浅いためサービス利用者は少ないが、利用者からは「スピードやコストは満足している」や「防犯面・衛生面で安心感があった」と、サービスやロボットの特徴について評価する声があがっており、ドライバーによる配送と比べてマイナスの評価は今のところ無いようだ。
一方で「受取方法(QRコードの受取・かざし方等)がやや複雑」や「食品以外にも医薬品や本、オフィス用品などを運んでほしい」といった意見もあることから、これらの意見を今後に反映させ、サービスの向上を図っていく。
今後は、2021年度に実証実験の第2フェーズを予定しており、遠隔監視でのロボット運用(第1段階では人がロボットに追従し走行している)や、商品配送に対応する店舗の佃・月島エリア全域への拡大とともに、第1フェーズの実験でユーザーから出た意見や見つかった課題を踏まえたサービス検証を実施。
最終的には、2022年に佃・月島エリアでのサービス実用化を目指すほか、その後は同エリア以外にもサービスを展開。さらには、サービス領域をBtoC以外にもラストワンマイル配送などのBtoBや、個人間の配送を行うCtoCにも広げていくことを想定している。