LNEWSは、物流・ロジスティクス・SCM分野の最新ニュースを発信しています。





「物流子会社を極める」 ソリューション提供へ進化

2021年04月09日/物流最前線

<ラクスル共同開発 輸配送計画自動化システム概要図>
20210402rakusle 520x313 - 物流最前線/NTTロジスコの物流戦略

物流子会社を極める

――  外販比率は今後も高めていくと。

  現在は6割ですが、できれば7割に高めたいと思います。しかし、基本はNTTグループの物流機能担当会社です(NTTロジスコは持株会社の100%子会社)。当社はNTTグループ向けにはコストセンターとして災害時を含め安定した物流サービスを提供し、コスト削減を担います。一方、NTTグループ以外の外販物流では、3PL企業として自立し競争に勝てる、そして利益でNTTに貢献する会社になりたいと思います。
NTTグループ内の物流では競争はありませんが、マーケットプライスを意識し、コスト削減を継続して実施しています。具体的にはオープンブック方式を順次拡大しています。コスト内訳を明らかにし、さらにコスト削減の取り組みを加味して、収支相償を原則にした契約をしています。物流コスト削減により各事業会社の利益に貢献しています。
これまではNTTグループのインフラ物流等の実行系の業務をやってきましたが、これからは計画系の部分にも足を踏み入れてサプライチェーンに影響力を持つ会社になりたいと考えています。在庫に対する最適な補充・調達計画への関与です。NTTグループ内で物流最適化への影響力を行使できないで、外部のお客様に行使できるわけがないですからね。
「物流子会社」の役割を「徹底したコスト削減」と「物流の全体最適化」と捉え、これを追求し極めていきたいと思います。

――  外販比率を高めることと物流子会社を極めることは相反しませんか。

  NTTの物流子会社を極めるということが、外販の競争力を高めるという認識です。具体的には、これまでの会社経営で曖昧だった部分をすっきりさせ、NTTグループの物流ではコストセンターとしてコスト削減を追求、外販物流はプロフィットセンターとして利益最大化に徹することを経営方針に据えました。我々が提供する価値が利益だと考えています。NTTグループで実現できたコスト削減を外販に活かすことで、初めて他社と互角に戦える競争力が生まれるものと思います。それから、コスト明確化の一環で間接コストの配賦方法も厳格に見直し、いわゆる内部補助を排除しました。物流子会社を極めることは、外販物流の自立と競争力強化を促しました。敢えて、退路を立つ覚悟でチャレンジし、3PL企業として外販でも成長できるものと考えています。

――  1月25日にSCMソリューションを提供するザイオネックスとの業務提携を発表しました。

  計画系をやるなら、サプライチェーンプランニング(SCP)の力をつけたいと思い、ザイオネックスと業務提携しました。ザイオネックスのSCPツールは、必要な機能を9つのモジュールに分けて提供しており、必要なモジュールを選択して利用することができる経済性と拡張性を備えています。社内にSCMの専門チームも立ち上げ、中堅企業向けにこのSCPツールをベースとしたソリューションを提供していきたいと考えています。すでに複数の企業から引き合いもあり、これからが大変楽しみです。顧問にSCMの専門家を迎え、サポート体制も強化しました。

――  ラクスルとも実証実験を行っています。

  ラクスルの運営する「ハコベル」において、現場で属人化しがちな輸配送業務の全体最適化を実現するための「輸配送計画自動化システム」を共同開発しました。実証実験では、当社の輸配送計画業務のノウハウを自動化し、事務作業時間を75%削減、輸配送コストを25%削減する成果を得ています。
 ラクスル松本社長の「仕組みを変えれば、世界はもっと良くなる」というビジョンに共感を覚えます。このような取り組みはもっと拡大していきたですね。

――  スタートアップ企業とも手を結んで、会社としては大きな改革を始めているわけですね。

  オープンイノベーションで、オペレーションの会社からソリューションの会社へ脱皮したい。とは言え、NTTのグループ会社はソリューション提供を謳う会社ばかりです。ただ、我々には現場があるという大きな強みがあります。ソリューションが本当に役立つソリューションになるには、粒度の細かさ(詳細さ)が必要です。顧客の課題をしっかり把握し、それに対して解決するサービスを提供するということです。以前勤めたNTTの会社で、情報プラットフォームを作って、さあ皆さん参加してくださいと言っても中々参加してもらえませんでした。今は現場を持っているということで、より現実的な提案、粒度の細かい提案ができると手ごたえを感じています。

――  グループ内にはNTTデータという会社もあります。

  NTTデータのサプライチェーンマネジメントの取り組みにも重なる部分があります。我々も、NTTデータのプラットフォームを利用しようと思っていますので、交流を深めています。当社の顧問にNTTデータOBを迎え、子会社のコンサルティング会社のクニエとの関係も強化しています。また、山口副社長は同期なので、一緒にビジネスをやろうと話しています。

――  多くのソリューション企業を持つNTTグループの強みです。

  社長になった時から、NTTロジスコは物流におけるNTTグループの結節点になります、と声をかけてきました。今では、いろいろな案件でグループ会社から相談がくるようになりました。ビジネス面でも、もっとシナジーを発揮していきたいです。

――  NTTグループの中で存在感が増しているようですね。

期待と責任を感じています。NTTグループでは、現在自らのDX(デジタルトランスフォーメーション)に力を入れています。お客様にDXを提供するためにも、自らのDXに積極的に取り組む方針です。そして物流の分野で、当社がリーダー役を任され、プラン作成から実行まで担当することになりました。各事業会社別々だった物流を統合し、全体最適化する取り組みを2023年までに完成させます。基幹系にはSAPを据え、WMSやTMSは我々のシステムで基盤を統合します。この情報基盤は外部のお客様向けにも活用していきます。

次>美しく透明な流れをつくる

<前へ 次へ> 1 2 3 4

関連記事

トップインタビューに関する最新ニュース

最新ニュース