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日本GLP/JPロジ×西濃、ライバルがパートナーになった理由

2023年10月30日/物流施設

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日本GLPが神奈川県に竣工した「ALFALINK相模原」において、10月17日にグランドオープンイベントが開催された。このなかで、入居企業によるクロストークとして、JPロジスティクスと西濃運輸が、「競争から共創へ」をテーマにALFALINKへの入居を通じて共創に至った経緯などを語り合った。いかにして、ライバル企業間にパートナーシップが生まれたのか。同施設のコンセプト「オープンハブ」が機能した場づくりと、人と人の関係性が新たなビジネスへと繋がる、現場の声に参加者らは聞き入った。

ALFALINKで新サービス誕生
ドライバーの応募も増加

司会  それぞれALFALINKに入居して2年が経過されていますが、現在の事業の状況はいかがですか。

<JPロジスティクス 平川センター長>
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平川  我々は「ALFALINK相模原I」の1階と3階で事業展開しており、入庫から保管、ピッキング、流通加工、出荷、そして物流会社の強みであるエンドユーザーへの配送までを一括受託する事業へのご要望を多くいただいます。入居して2年、たくさんのお客様に喜んでいただいており、全社的にも一括受託を推進しているので、ALFALINKでの取組みが成功事例として取り上げられるなど、私自身もやりがいを感じています。

司会  しかも、ドライバーの応募が2年前に比べて増加されているそうですね。

平川  はい、本当に自分でもびっくりですが、本社の人事も驚いています。ALFALINKでは、11名のドライバーを採用し、既に戦力として活躍していただいています。今後、いろんな事業を拡大していくうえで、とても楽しみですね。

司会  西濃運輸様はいかがでしょうか。

<西濃運輸 宇野支店長>
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宇野  当社は「オープンパブリックプラットフォーム」(OPP)という戦略を推進しています。中身はGLPさんの「オープンハブ」とほぼ同じで、同業他社はもちろん異業種の企業と連携し、開放的で公共性の高い物流プラットフォームの構築を進めています。このALFALINKには、ライバルである同業他社が多く入居されていますので、OPP戦略においては、各社と積極的な協力関係をつくることがポイントと考えています。同業者といってもそれぞれの得意、不得意があり、協力することで物流課題、2024年問題や環境、労働力不足問題の解決や、自社の事業成長に繋げられるものと考えています。

課題解決の代表的なものとして、2つご紹介します。まずは、佐川急便さんと開発した「飛脚カンガルー便」※です。これはまさに、ライバル(競争)から共創への一歩になったと考えています。サービス開発に関しては、商品の特徴を知るために佐川急便の朝礼に我々が出向いたり、西濃運輸のプラットフォームに、佐川急便さんにお越しいただいたり、関係を1から現場で構築していった、という感じです。2つ目は、JPロジスティクスさんとの共同輸送です。こちらも現場どうしの関係性から業務がスタートし、路線輸送の協力関係を継続していただいています。

※飛脚カンガルー便
宅配では送ることができない3辺合計260サイズ、50kgを超える荷物を中心に、佐川急便が集荷し、西濃運輸が配達するサービス。

サマーフェスタで早食い対決
いつしかパートナーに

<ALFALINK相模原で開催されたサマーフェスタ>
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司会  ライバルがビジネスパートナーになるってすごいですよね。垣根をこえて共創される、きっかけは?

平川  やはり我々にも強みと弱みがあり、エンドユーザーへの輸配送でどうしても自社だけでは困難なところも出てきます。そんなとき、今までは協力会社に中継を頼むなど様々なやり方をしてきましたが、ALFALINKのいろんなイベントで西濃運輸の宇野支店長と話をする機会があり、関係性ができていたんです。実は、こういうところで困っている、こういうことをしたらいいんじゃないか、と現場目線で話が動いていって、あとは上の人に許可をもらうだけ。

司会  ライバル会社がすぐ近くに入居しているケースは、他の施設でもあることかもしれませんが、物理的な距離もさることながら、人との関係性は近いということが共創のきっかけになったということでしょうか。ALFALINKに入居して、印象的なできごとがあれば聞かせてください。

宇野  ALFALINKのなかに同居しているというのは重要なファクターですが、もともとはライバル会社ですし、すぐに仕事は繋がるということは、なかったんです。ただ、こちらではカスタマー協議会やサマーフェスタなど入居企業が集まる機会がたくさんあり、私と平川センター長もそのなかでコミュニケーションをするようになったんです。

なかでも、サマーフェスタでは、入居企業どうしが対抗戦を行うイベントがあり、今年は「かき氷早食い大会」だったんですが、私とセンター長も出場しました。2人とも1回戦で負けたんですが、初代チャンピオンは佐川急便相模原緑営業所の管藤直斗所長で、今年もディフェンディングチャンピオンでトロフィーを持っています(笑)。仕事ではなく個人、ALFALINKの仲間同士でお互いを知ることができて距離が縮まって、仕事へのハードルも下がったというふうに思っています。

<サマーフェスタで行われた「かき氷早食い大会」>
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<人と人の関係性が生まれる場に。写真中央が優勝した佐川急便の管藤所長>
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司会  きっかけは、かき氷の早食い競争だったんですね。仕事とプライベートのコミュニケーション、両方ある施設はなかなかないですね。コンセプトである「オープンハブ」を表す好事例だと思います。最後に、今後の物流業務へのお考え、ALFALINKへのご意見などがあればお聞かせください。

平川  物流業界では「2024年問題」という大きな課題に直面していますが、正直、自社だけで解決していくことは難しいと感じています。そのような状況のなか、ALFALINKでは同業他社とコミュニケーションがとりやすく、お互いの課題に対し話し合い、そのなかから新しい事業が生まれてくる。これは我々にしても、業界にとってもいいことなんじゃないかと感じています。そういった環境を提供してくださっているALFALINK、日本GLPの方々に今後もサポートをお願いしたいと思っています。

宇野  そうですね。今回はJPロジスティクス様との共創のお話をさせていただきましたが、ALFALINKには様々な企業が入居されており、我々のOPP戦略についても、さらにコミュニケーションの拡大が必要だと思っております。そのためにも、ALFALINKは最適な場所だと思っています。(了)

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