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連載 現場が変わる人財育成 第4回 菅田 勝

2023年12月11日/コラム

20230911sugata - 連載 現場が変わる人財育成 第4回 菅田 勝

連載第4回「Z世代の活かし方と育て方(4)」

前回(第3回)では、若手(Z世代)のやる気を引き出し、職場への早期定着化を図る取り組み事例として、「職場の安全衛生防犯パトロール隊や5S委員会、自衛消防隊等に参加してもらう」を紹介しました。今回は、もう一つの好事例を説明します。

取り組み(2)
若手にもやる気になってもらうために、改善提案活動を奨励、実践的なOJT改善活動通じて育てる

物流現場には数多くの問題点が存在します。例えば、誤出荷防止(作業品質)や生産性向上など、取り組むべきテーマは山積みです。

こうした課題解決のために、現場責任者を務めていた当時の私は、「荷主企業の要求に応え、収益を確保するためには、私達の物流センターには少なくとも2000~3000項目の改善すべき課題が山積しています。これらを皆さん全員の協力を得て改善し、荷主企業に感動と満足を感じていただけるようにしましょう。このため、皆さんには毎月1人1件の改善提案活動で現場改善して欲しい。仕事しながら、改善工夫をする習慣、実践行動をお願いします」と朝昼礼時に常に要請していました。

若手新人にも積極的に取り組んでもらい、改善できる戦力になってもらうために、きめ細かく声掛けし、「この現場作業はこのようにできれば素晴らしいんだが、一緒に良い方法が無いか考えてくれないだろうか」と要請し、改善のアイデア(ヒント、手法等)を紹介しつつ、職場を巡回していました。

日々遭遇する問題点を解決するために「どうしたら改善できるか?」という問い掛けを繰り返し、それに必要な改善手法や専門知識を紹介、具体的にどうしたら改善できるかを考え、実践活動してくれるように仕向けていました。

例えば、ピッキング作業の生産性を向上させるために棚の配置変更を行う場合では、改善手法として定番のレイアウト歩数分析や、ABC分析(またはEIQ分析)の改善手法などを若手とパートさん達の混成チームにヒントとして紹介しました。そして、彼らのチーム改善活動を折に触れ社内で紹介し、やりがい感をモチベートし続けました。

その結果、改善が活発化し、ほぼ毎月、改善提案も1人月1件(年間10件)ペースで出始めて、職場の5S活動も進み、見違えるような整理された素晴らしい職場に変身していきました。ずらりと並んだ改善提案書掲示ボードは圧巻、さらに来客への明るく元気でさわやかな挨拶なども高評判を獲得できるようになっていきました。

商談中のお客様が見学終了時に、「素晴らしい物流センターですね、感動しました。現場見学して業務委託することを決断しました。我社の商品を頼みます。物流業務委託にあたり、商品部全メンバーも是非見学させて欲しい」というようなお褒めの言葉もいただけて、受注に繋がりました。

これらの成果を全員に報告し、皆で拍手すると尚盛り上がりました。荷主企業や来客時の改善事例紹介も、管理監督職ではなく、作業当事者である若手やパートさん(派遣さんも)が直接説明するようにしたことで、ますます改善に拍車が掛かりました。

若手をその他大勢でほったらかしにせず、巻込んで、疎外感を感じさせないで、貴重な戦力当事者にすることが、若手が定着し、奮起するチーム創りへの秘訣になります。改善提案制度を通じて、マズローの欲求5段階説のレベル4(自我欲求)以上を追い求めてきました。

小さな仕事でもしっかり受け止めてあげて、仕事の結果を出したらしっかり感謝する。そして、褒める・承認することが若手のやる気、自信に繋がり、ひいては職場への定着の好スタート点になります。若手を生かし、荷主(顧客)にも信頼され、愛される「ファンベース」物流組織になっていきますので、あなたの職場でもぜひ実践してみて下さい。

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20231204sugata - 連載 現場が変わる人財育成 第4回 菅田 勝

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