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NEC/2024年問題にデジタル化で挑む 共同輸配送の推進と展望

2025年03月25日/IT・機器

NECは3月25日、「ロジスティクス」への取り組みとして、同社が展開する共同輸配送プラットフォームの推進と展望、通関デジタル化ソリューション等を紹介した。

<スマートILM統括部 梅田陽介 主任>
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NECが2024年9月より取り組んでいる「共同輸配送プラットフォーム」は、複数企業の荷物を同一トラックで運搬する共同輸配送を支援するサービス。2024年問題による積載率向上の課題が深刻化するなか、荷主となる企業同士のマッチングを行い、共同輸配送を円滑に進めるためのものだ。

以前から共同輸配送の取り組み自体は存在するものの、課題として「条件に合致する企業の探索」「条件調整や継続が困難」「日々の変化に合わせたオペレーションの煩雑、困難さ」などがあることから、普遍化するには至っていない。

そこでマッチングをデジタル化し、互いの情報を事前に共有することで、探索・調整・実行までの流れをスムーズに進めることを可能にするという。

現在はプラットフォームに参加する企業が約10社、主要ルートは首都圏から東海、関西エリアが中心となっているが、2025年4月以降には参加企業を約30社、主要ルートを北海道や九州まで広げることを目標とする。さらに2027年4月以降は、各エリアにおける地場・エリア配送を拡充し、参加企業を約70社まで広げる予定だ。

スマートILM統括部 梅田陽介 主任は、他の類似プラットフォームとの競合について「市場独占を狙うというよりは、携帯キャリアのように他社とのプラットフォームとも互換性があり、ユーザーもある程度自由にプラットフォームの切り替えができるくらいが理想。そこまで市場が大きくなれば、その中の一部として利益面もある程度確保できるようになる」と、一企業の利益面と、社会貢献のバランスについて語った。

<モビリティソリューション統括部 中緒祐紀 主任>
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2024年6月から進めている「NEXT Logistics Japan(NLJ)」との戦略的提携では、相互連携による共同輸配送の対象ルート・候補決定のほか、配車と荷物の組み合わせなどの連携サービスを行っている。

モビリティソリューション統括部 中緒祐紀 主任は、「人口減少に伴う物流網の枯渇は続くことから、人が少なくなっても運べる社会への変革が必要」とし、「今後は陸路だけでなく船舶などへの応用も検討している」と述べた。さらにサービスの浸透に関する現実にも触れ、「取り組み自体に賛同してくれても、実際にやるとなると足踏みをする企業が多い。様々な方面から課題を明確化し、共同輸配送の市場形成を進めていきたい」と語った。

<スマートILM統括部 須賀宏平 主任>
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続けて紹介したのは、生成AIを活用した、輸出入統計品目番号(HSコード)の判定サポートで、2024年9月に発表されたものだ。

輸出入の商品を分類するHSコードは、関税率を調べるために必要なもので、輸出入時に国へ申告するため必須となる。しかし、約1万のHSコードを正確に商品の種類ごとに判別するためには、膨大な知識が必要となり、人手で行うには工数がかかるものとなっていた。そこで、税番判定業務の効率化に生成AIを活用するシステムを開発したという。

生成AIの活用により、案件化前のものでも、荷主からの税番判定依頼に最小工数で回答できるといったメリットのほか、新人育成の教育ツール、解釈が分かれる商品の判断材料にするなど、実践面でも多くの利点を期待できるとしている。

スマートILM統括部 須賀宏平 主任は、「営業での工数削減や、荷主からの回答催促への対応により、効率化に加え売上拡大の可能性にもつながる」といった、実運用での利点をアピールした。

<スマートILM統括部 大久保聡 ディレクター>
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スマートILM統括部 大久保聡 ディレクターは、NECの挑戦について「物流格差のない、誰もが公平にモノ・サービスを享受できる社会を、デジタルの力で実現できるように目指す」と総括。

さらに、2024年問題について取り組んでいくことを問われると、「この1年間で様々な業者とやり取りして感じたのは、まずはDX化というよりも、アナログが強い商習慣にデジタルを組み込むのが先になってくる。まず着手できるところから、ということで荷主同士をつなぐソリューションを提供していく」と回答。まだ業界でもこうした取り組みは始まったばかりで、サービスの浸透と現実的に運用するには時間が必要である旨を語った。

NEC/「共同輸配送プラットフォーム」でサプライチェーン構築を開始

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