LNEWSは、物流・ロジスティクス・SCM分野の最新ニュースを発信しています。





センコーグループの物流戦略

2020年11月30日/物流最前線

<トゥインクルプラス東生駒>
20201118senko5 520x347 - 物流最前線/センコーグループの物流戦略

<ちゃいれっく新大塚駅前保育園>
20201118senko6 520x347 - 物流最前線/センコーグループの物流戦略

<ホテル櫂会>
20201118senko7 520x347 - 物流最前線/センコーグループの物流戦略

2010年の「物流を超える」を実践

―― リスク分散の多角化戦略ということですか。

福田 私自身は特に多角化戦略とは思っていません。もともと私が入社した1969年に、当時の社長が、運輸にこだわらなくて、整備部門とか商事部門、保険分野にまで事業の幅を広げていました。そのために、1973年に当時の社名の扇興運輸から運輸の文字を取り去り、カタカナのセンコーに名称変更したのです。当時私は入社して4年目でしたが、「これは面白い会社だ」と感じていました。ところが、そこから中々運輸以外の事業が進展しませんでした。1976年に4代目の社長が、「トラック1本じゃなくて、もっとやるべきことがあるだろう」との方針を示したので、私は物流センター事業拡大の構想を進言したところ、社長はすぐに受け入れてくれて1983年頃から本格的に展開し始めました。そのころからですね、私が2004年に社長になって、2010年に発表する方針となる「物流を超える、世界を動かす、ビジネスを変える」という考えをずっと温めてきました。この方針から一気に進展させました。

―― 壮大な目標ですね。

福田 まだ、世界を動かすには至っていませんが、少なくとも物流を超える、ビジネスを変えるについては、一定の実績を残せたものと思っています。ですから、リスク分散を考えた上での発想ではなく、物流の範疇から少しはみ出た部分、言うなれば手を伸ばせば届く、物流を超えた新たな事業開発を考えて徐々に実行していったわけです。

―― 現在では、保育所、老人ホーム、ホテル等、まさに以前の英国政府の「ゆりかごから墓場まで」の政策のようです。

福田 確かに(笑い)。最近では、ライフサポート事業として、人々の様々な生活を支援する事業を展開しています。例えば、老人ホームの運営は社員のアイデアでした。ある部長の提案でしたが、老人ホームの経営は当初私の頭の中にはありませんでした。しかし、社会環境を考えれば、少子高齢化でどんどん高齢者が増えていくわけですから、理にかなっています。そこで「やりなさい」と。現在、順調に推移しています。一方で当然、失敗した事業もありました。

―― どのような事業ですか。

福田 実は音楽配信サービスというものもやっていたのです。私は提案されるといやと言えない性格なものですから承認しました。ただ、収支上の計画は厳密にたてていたのですが、その計画に反して予想外に収入が伸びなかったのです。アマチュアの方が自作の曲をネットにアップして、その曲に対して「イイね」が付けば投げ銭をネット上で稼いでいくというものでしたが、投げ銭が予想外に集まらず、採算が取れるまで10年は必要ということで、断念しました。

―― 最近ではどのような事業をお考えですか。

福田 今、従業員から「医療ツーリズム」の提案を受け、実行に向け準備している最中です。これは、中国の人達が、日本に医療目的で訪れ、健康診断等を受けつつ、日本国内の観光を楽しんでもらおうというものです。上海、北京に事務所を作り、日本の医療機関とも提携を結び、1年かけて準備を進めています。日本の医療技術に関しては信頼度が高いですからね。私としては、地方自治体とも協力して取り組んでいけたらと考えています。地域活性化の一環にもなりますからね。

―― 医療ツーリズムについてはTVでも放映されており、面白い取り組みになりそうですね。ところでこの本社ビルの隣に今年2月1日にグランドオープンした「東京イーストサイドホテル櫂会(かいえ)」の開発を発表した時は驚きました。まだまだ驚くような事業展開を考えていそうですね。

福田 実は小売部門に進出しようと思っており、実店舗を持つ小売店をグループに迎える予定です。順調にいけば近々発表しますが、ビル物件なども持っていることから、再開発して売上をさらに増やすなどの構想を持っています。

>次 「トラックの数が足りない」がM&Aの発端

<前へ 次へ> 1 2 3 4 5

関連記事

トップインタビューに関する最新ニュース

最新ニュース