日本物流団体連合会(物流連)は11月25日、「第8回モーダルシフト取り組み優良事業者公表・表彰制度」の表彰式を都内で開催した。
物流連では、2003年からモーダルシフトに積極的に取り組む物流事業者を会報等で公表しており、2014年度から優良事業者の表彰を中心とする制度へ移行。表彰制度として8回目となる今回は、17件17社が優良事業者として選定された。
日本通運は、実行部門と有効活用部門の2部門で「優良事業者賞」を受賞した。
実行部門では、モーダルシフトに向けた全社的な取り組みで、幹線区間での貨物総輸送量のうち鉄道・海運の利用比率が40%超を達成したことが表彰された。
有効活用部門では、愛知県から岩手県へのウレタン製品・ゴム製品の輸送について、トラック輸送から鉄道輸送へのモーダルシフトを実現したことが表彰された。同取り組みでは、従来、長距離トラック輸送を行っていた顧客3社に鉄道輸送への転換を提案し、共同輸送を実施したことでCO2排出量を削減したほか、ドライバー運転時間を年間1500時間程度削減した。また、この取り組みによって自動車部品専用列車の余席部分に貨物が積載可能となり、物流の効率化も実現した。
佐川急便は、有効活用部門での受賞。
同社は、2018年7月から東京~苅田航路のフェリーを利用し、関東から九州への輸送についてトラック輸送から海上輸送へのモーダルシフトを推進。また、2021年7月からは、新たに運航を開始した横須賀~新門司航路のフェリーを利用し、さらなるモーダルシフトを実現した。
同取り組みは、運送業界の課題であるCO2排出量の削減と、長時間の運行に起因するトラックドライバーの負担軽減の効果に加え、大雨等による鉄道輸送力の一時的な低下を補完できた点もBCP対応として評価され、受賞につながった。
新たに開始した横須賀~新門司航路では、従来の東京から苅田港間の運航と比べて約4時間の時間短縮が図れることから、営業所への到着時間が早まり、リードタイムの短縮にも繋がるとしている。
センコーグループからは、センコーが「改善部門」と「有効活用部門」、ランテックが「有効活用部門」での受賞となった。
「改善部門」では、センコーが拠点間の幹線区間での輸送量について、トラックの割合を減らし、鉄道・海運の割合を向上。2019年度の鉄道・海運の割合実績が全輸送量中70.0%だったのに対し、2020年度の実績は74.9%を達成し、前年度比でモーダルシフト輸送比率を改善した。
また、「有効活用部門」では、センコーの海上輸送に関するモーダルシフト2案件(北海道から西日本エリアへの酪農機器のモーダルシフト、長野県から北海道へのジェットヒーターの輸送)と、ランテックの宮崎県から関西地区へのブロイラーのトラック輸送から海上輸送への変更がそれぞれ受賞となった。
日立物流は「有効活用部門賞」での受賞となった。
顧客である衛生用品メーカーの九州の工場から関東地方向けの輸送について、グループ会社のバンテックが行っている自動車メーカーの関東発九州向けの帰り荷スキームを活用し、従来のトラック輸送から内航船へのモーダルシフトを推進。CO2排出量を年間で対トラック輸送比で78.3%減したほか、車両配車台数を年間で24台削減し、ドライバー不足と車両不足に対応した。
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