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100%CO2フリー物流施設開発
オリックスが「やる気MAX」

2022年03月07日/物流最前線

<太陽光パネル>
20220303orix5 - 物流最前線/オリックス不動産の100%CO2フリー物流施設

<バイオマス発電設備>
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グループ一体取組として提供

吉村さんは「オリックスとオリックス不動産は、今回グループ内の組織として、100%再生可能エネルギー由来の電力の使用を可能とする物流施設の開発に着手しました」と取り組みの全体像をまず説明。その新しい方式を「PPAと再エネ由来のPPSの組み合わせにより、市場へ新たに環境価値を提供する物流施設の取り組みとなります」と説明する。このPPA(Power Purchase Agreement)というのは、電力を需要家(電力の使用者)に売る電力事業者(PPA事業者)と需要家との間で結ぶ「電力販売契約」の事。第三者設置モデルとも言われ、電力事業者が太陽光発電設備を設置する取り組みで、昨今導入企業が増えている。PPS(Power Producer and Supplier)とは、特定規模電気事業者のことで、需要家に対して電気を供給できる事業者を指している。

これまでも、太陽光発電パネルを設置した物流施設は数多くあったが、売電を目的としたものが主で、価格の相次ぐ急激な低下に悩まされていた。初期には1kw40円程度だったものが、今や10円前後まで低下している。また「物流施設の屋上は太陽光発電に必要な広さを確保できますが、逆に自家発電消費型のみでは、余剰電力が大量に発生する場合が多く、一方では、雨天時や夜間等により十分な電力が確保できないこともあるなど、様々な課題が明らかになっていました」と吉村さん。

今回の取り組みは、オリックスだけでPPAとPPSの組み合わせができるのが大きな特徴だ。オリックスは2021年3月時点で、国内にバイオマス発電の設備容量80.8MW、大規模な太陽光発電所を105か所(合計701MW)、その他地熱発電所を保有・運営し、風力発電所の開発に向けての調整・検討を進めている。

吉村さんが「PPA事業、PPS事業共に従来からオリックスでは行っており、100%再生可能エネルギー由来の電力供給システムを物流施設内に提供するという試みです」と話すように、オリックスが第3者所有として太陽光パネルを設置し、ここで発生した電力をオリックス不動産の施設内で自家消費する。次にPPSの取り組みとして、天候が悪い時や夜間には太陽光パネルは発電しないので、施設で必要な電気はオリックス 環境エネルギー本部の再エネ発電を利用するというものだ。

ここでポイントになることとして、吉村さんは「余剰発電した部分についてはオリックスの環境エネルギー本部がFIT(Feed-in Tariff)やFIP(Feed-in Premium)制度による売電が可能としており、省エネだけでなく、創エネにも役立てられる新たな仕組みにしています」と話す。さらに「再エネ特定卸供給制度により、余剰分の環境価値を他物件に紐づけることが可能(トラッキング付非化石証書)です」とのことだ。

なお、物流施設屋上での太陽光発電の自家消費が少ないというのは意外だったが、今後自動化、ロボット化が急速に進むにつれ、電力消費量は増すと思われる。「消費量が増加しても、設置パネルからの総発電量は十分にあり、PPS取り組みとの組み合わせで問題なく運営できます。環境と電力事業に関しては27年前からやっているので実績も十分です」と、吉村さんは今後の展開にも自信を見せている。

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