松伏から稼働開始し、13計画案件で実施
この取り組みは、もうすでにスタートしており、2019年3月竣工の埼玉県松伏町の松伏ロジスティクスセンターでは太陽光パネル設置の工事が進行中だ。設置後4月から稼働開始を予定しており、1713kwの太陽光発電設備が発電を開始する。これにより、CO2排出量を年間970.8トン削減(2020年11月~2021年10月実績による)する見込みだ。
「オリックス不動産では、今後13物件の物流施設開発を予定しており、そのすべてにこの取り組みを提供していく予定です。最近発表している2022年11月竣工予定の市川塩浜Ⅱロジスティクスセンター、2023年2月竣工予定の鶴ヶ島Ⅱロジスティクスセンター、2023年1月竣工予定の守谷Ⅱロジスティクスセンターにもすべて提供していく方針です」と物流事業部の平山 真理さん。
一方、タッグを組むオリックス 環境エネルギー本部の周藤 隆 電力事業第二部副部長は「物流施設の広い屋根の部分は遮熱効果も図ることもでき、太陽光パネルを設置するには最適な場所でした。しかし、物流施設の消費量が少ないため、そのスケールメリットを生かすことができず、消費量から逆算すると3分の1程度しか設置できませんでした。そのため、今回の仕組みで余剰電力を売電できるというのは大きなセールスポイントになると思います。PPSとPPAをワンストップでできるようにしたことで、環境問題に貢献できる体制を整えたわけです。BCPの観点からも、災害時にも最低限必要な電源を確保できる蓄電池の事業部もグループ内にあり今後有効活用できれば、BCP対策にも効果的です」と、この取り組みの先進性を強調する。
もちろん、この取り組みはオリックス不動産の物件を中心に進めていく予定だが、要望があれば他社物件についても対応は可能だという。また、物流施設だけでなく、すでに工場や商業施設では実績を作っている。岐阜県のスーパーマーケット「バローホールディングス」では、2019年12月にBCP(事業継続計画)機能を備えた太陽光発電システムの第3者所有モデル(PPAモデル)をバローグループの店舗に導入することについて合意。2020年6月に「スーパーマーケットバロー下恵土店」(岐阜県可児市)、「スーパーマーケットバロー三園平店」(静岡県富士宮市)の2店舗にPPAモデルを試行的に導入している。工場でもアパレルメーカー等で採用されている。
オリックス不動産物流事業部の清田 衛 物流事業部長は「先ほど電力価格についてはこれまでと同等と申しましたが、環境対応という新しい付加価値が付いたのだから、多少の値上げは必要との声も社内には確かにありました。しかし、オリックスグループ一体となった取り組みで、価格は据え置き、100%再生可能エネルギー由来の電力を供給できる体制が整ったということです」と話す。
同社が調べたデータによると、物流施設デベロッパーの多くが太陽光発電設備を持ち、売電と自家消費のどちらかに対応しているが、PPAとPPSを組み合わせた同社の環境配慮型施設開発までのレベルでCO2フリー化を図っている物件はわずかだという。まずは、松伏ロジスティクスセンターでこの春実現する環境配慮型物流施設の効果が期待されるところだ。(Y)