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2024年問題は待ったなし
自動化で労働負荷を減少

2022年10月28日/物流最前線

<新型燃料電池フォークリフト>
20221025toyota5 - 物流最前線/豊田自動織機トヨタL&Fカンパニー インタビュー

<国内初のトラック荷役フォークリフト>
20221025toyota6 - 物流最前線/豊田自動織機トヨタL&Fカンパニー インタビュー

<自動トーイングトラクター>
20221031toyotalfr 520x347 - 物流最前線/豊田自動織機トヨタL&Fカンパニー インタビュー

アルゴリズムとセンサーが技術キーワード

――  さて、3つ目のチャレンジが自動化ですね。オペレーターをゼロにするということですが。

一条  日本の人口指数として、このままいくと2050年には生産年齢、いわゆる労働人口が、現在の30%も減少することが確実視されています。もう、待ったなしの人手不足の時代がやってくるわけです。このような背景から、当社では80年代からフォークリフトの自動化に取り組んできました。AGFと呼ばれる磁気線ガイドに沿って走るタイプを小型から大型まで揃えました。さらに、レーザーで動くもの、SLAMという地図を作って動くものとか、これまでは、荷物の置き場所が決まっていたものに対応したものでした。今回開発した自動運転フォークリフトは、2024年問題でもあるトラックドライバーの労働環境を良くしようと考えて、倉庫とトラックの結節点であるトラックヤードでの負荷を極力減らそうという自動化モデルがトラック荷役対応自動運転フォークリフトです。

――  様々な最新技術が搭載されていますね。

一条  トラックがどの位置に入ってくるかも分からないわけですから、例えばパレットをAIを使って見つけると、ベテランオペレーターが瞬時に判断してハンドルを切るタイミングをAIによるディープラーニングで学習して、アルゴリズムを開発できました。運べという指示に対して、トラックを認識、荷台の位置確認、荷物の傾き角度等を計算し、隙間を見つけて積みつけるといった一連の動作を自動で行うものです。

――  少しゆっくりしていると感じますが。

一条  それだけ、ベテランオペレーターのフォークリフト操縦が優れているということですね。スピードは初心者よりは早いのですが、ベテランの域には達していません。これは、一連の動作を一つずつ考えて実行しますからね。今後、アルゴリズムの改良でスピードを増していくつもりですが、これでも実際に使ってもらっている顧客からは、このスピードでも問題ないと言ってもらえています。なぜなら、機械ですので24時間働くことができるからです。

――  地震等の異常事態には。

一条  地震とか異常時に荷物が傾いたときには、人間のオペレーターなら、このままだと危ないと判断しますね。そのような判断ができるアルゴリズムも開発中です。ベテランオペレーターのノウハウというものは、とてもすごいもので、そのオペレーターがどこを見てどのように判断しているのかということも併せて研究しています。

――  フォークリフトがロボット化してきましたね。

一条  元々フォークリフトというのは、人間の手足を拡張したものです。そこに人間の目と頭をつけて機能を拡張していくといった考え方です。まさにフォークリフトロボットです。また、最近では耳の情報も大切なことだとわかってきました。機械の異常音や現場の音等の情報はとても大切ですので、遠隔操作しているときには音の情報は重要になります。ベテランオペレーターは機械音で故障場所を瞬時に見つけますからね。人間の五感を持たせたイメージです。

――  フォークリフトだけでなく、AMR等の自動化も進めていますね。

一条  ヨーロッパのチームと一緒に開発していますが、AMRなどの各種ドローンが倉庫内で最適に動きまわっている姿を2030年までに実現しようとしています。そうすれば、完全無人倉庫というのも出現するかもしれません。そこでキーとなるのがやはりアルゴリズムとセンサーのさらなる発展でしょう。そして、もう一つがコネクテッドの考え方です。すべてが通信でつながっているということです。こうなるとほとんど人間ロボットなんじゃないかと(笑い)。

――  自動化は閉じられた空間から始まるとすれば、倉庫とか空港などは早そうですね。

一条  実際、空港のトーイングトラクターなどは自動運転を行っています。荷下ろし作業がないので比較的簡単に自動化ができると思われがちですが、空港は逆に目印とするものがなく、位置を特定するのが結構難しいのです。GPSだけだと無理で、そこでどうしたかというと、路面を見るのです。路面には一つとして同じ路面パターンはありません。指紋みたいなものです。自動トーイングトラクターは天と地から情報を得て、現在地を認識しているのです。

――  物流の自動化も人間の手に代わるピッキングマシーン等はまだ登場していません。

一条  そうですね。トラックの自動運転も、例えば高速道路の一車線を専用にするとかなら可能ですが、現在のところ街中ではとても無理でしょう。しかし、物流関係の限られた空間では、作業者とフォークリフトのエリアを分けることにより、安全を担保することが比較的簡単なので、自動化は急速に進むと思います。その点、センサーやアルゴリズム等、トヨタグループの技術を取り込みやすいことは、当社の特徴の一つですね。人間のパートナーとなる自動化システム機器の開発をぜひとも実現していきたいと思っています。

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