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2024年問題は待ったなし
自動化で労働負荷を減少

2022年10月28日/物流最前線

<フォークリフトの電動化動向(日本)>
20221025toyota8 - 物流最前線/豊田自動織機トヨタL&Fカンパニー インタビュー

<これまでの製品化の歩み>
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物流の大変革期、スマート物流を提案

――  ところで、現在の国内物流環境をどのようにみられていますか。

一条  一般論になりますが、物流環境が大きく変化しています。顧客からの要望として、脱炭素意識の高まり、労働力不足、EC物流の高度化と増大、そしてここ数年は新型コロナ禍やSDGsの高まり等、様々な課題が生まれています。このような中で、当社のようにフォークリフトやマテハン機器を生産・販売してきたメーカーにとっては、構内作業での荷姿の変化も大きな課題の一つになっています。

――  荷姿がどのように変化しているのでしょう。

一条  荷姿は、パレット、ケース、ユニットという形になると思いますが、従来はパレット単位でフォークリフトにより一括して運ぶスタイルが一般的でした。しかし、現在は小さなケースや段ボール箱の輸送が増えています。パレットとユニットの輸送量が逆転する現象も起きています。荷姿の変化は、当然マテハン機器類の変化も生むことになります。

――  今後、物流センター内の機器類が大幅に変化していくということですか。

一条  そういうことです。これまでの物流センターでは、トラックが到着し、荷物を荷下ろしして、保管、移動、ピッキング、そしてトラック積み込みと、その都度様々なマテハン機器を組み合わせることで成り立ってきましたが、ロジスティクス4.0や5.0でも言われているように、大型投資を伴う自動化、すなわち入荷して出荷するまで、受注から指示確認等まで、一括して行えるようなスタイルに質的な変化も起きています。さらに、3年間続いているコロナ禍の中では、人と接触しなくても作業が進む非接触ニーズの高まりというのもあります。

――  物流現場も大変革期で大変ですが、機器メーカーも大変な時期ですね。

一条 このような状況下で、我々が目指しているのが「スマート物流」という新しい提案を行っています。すべての荷物の発注のタイミングから、受注のタイミング、倉庫業務、そしてそれらをどのような形で運ぶかということですね。誰でもどこでも必要な場所に必要な時に、サービスできるといった物流環境が2030年までには実現するものと思っています。それをスマート物流と呼んでおり、その実現に向けて全社で取組を強化している最中です。

――  確かに物流現場での自動化ニーズは非常に高まっていますね。機器メーカーとしてはチャンスでは。

一条  おっしゃる通り、顧客の自動化ニーズは高く、人とパートナーとなるようなロボティクスの導入がすでに進んでいますね。一方ではフォークリフトではなく、AMRのような小型の搬送ロボットが登場しています。それも従来と違い、中国やインド等のスタートアップ企業・ベンチャー企業から登場しています。フォークリフトに代わる製品の登場は我々にとって脅威でもありますし、一方ではチャンスということもできます。

――  なぜ、日本メーカーのAMRの普及が遅れたのでしょう。

一条  いずれの企業も開発はやっていましたが、開発が遅れたというよりは、高品質を目指したために、コスト的に不利だったんですね。そのため、AMRなどは海外製品が多数を占めるようになりました。ですので、機器メーカーとしては、今がチャンスであるとともに、リスクもかかえているわけです。今後、機器単体でのビジネスは成り立たなくなります。我々は、最適な機器を集めて、システム提案・ソリューション構築ができるように、我々自身が「ソリューションプロバイダー」になっていくことが課題だと思っています。

――  最後になりますが、読者に対して御社の製品のポリシーについて一言。

一条  当社のキャッチフレーズそのものですが、「現場の数だけ、『最適解』はある。」ということが、私たちの製品に対するポリシーです。このコロナ禍では当然苦労しましたが、学びも多かったものと思います。集まらなければできないと思っていたことが、仮想空間をCGで作り、そこに機械を当てはめて様々なアクシデントを加えて、対策を練るといった具合でした。まさにゲーム感覚で仕事ができるということも経験しました。海外のR&DチームとのWeb会議もスムーズになりました。自宅にいながら、開発することができると証明されましたからね。もちろん、実際に対面しての仕事の大切さは言うまでもありませんが。

――  ところで、一条さんが豊田自動織機に入社されたのは、フォークリフトやマテハンに興味があったからですか。

一条  実は、学生時代から作業用の機械が好きで、農業用トラクターに、当時出たばかりのマイコンのチップを搭載して自動運転のトラクターなどの開発をしていました。乗用車よりも作業用の車をやりたくて豊田自動織機に入社しました。私もアトムや鉄人28号世代ですので、やはりロボットや自動化にはあこがれていました。夢がありましたからね。夢を持つことは開発において、大きなモチベーションになると思っています。

――  現在、経営役員ということで、技術以上にストレス等がたまるのでは。

一条  基本的にストレスはたまるタイプではないですが、体を動かすことが一番のストレス解消法です。ジムに通ったり、サイクリングしたり、要は体を動かしています。思考がぐるぐる回っているときはすっきりしますね。それと、バスケットが趣味で学生時代から相当練習で鍛えられました。中高時代は年間360日練習していたような具合でした。今でも、バスケットの試合は好きで、Bリーグ等もよく見ます。そのほか、映画鑑賞とか読書もずっと続けています。

<一条R&Dセンター長>
20221025toyota10 - 物流最前線/豊田自動織機トヨタL&Fカンパニー インタビュー

■プロフィール
一条 恒(いちじょう ひさし)
生年月日:1962年8月17日(昭和37年)
出身地:北海道
最終学歴:1987年3月 北海道大学農学部農業工学科卒業
職歴
1987年4月 豊田自動織機製作所入社
2001年8月 豊田自動織機に社名変更
2007年1月 トヨタL&Fカンパニー機能開発センター長
2014年6月 同社 技術・開発本部開発第二部長
2016年6月 同社 常務役員
2019年6月 同社 執行職
2021年6月 同社 経営役員就任
現在に至る

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