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F-LINEプロジェクト参画企業
味の素、カゴメ、Mizkan、日清オイリオグループ、日清製粉ウェルナ、 ハウス食品グループ本社、F-LINE
各物流担当部門長に聞く2024年の展望

2024年02月26日/物流最前線

20240215 fline icatch - F-LINEプロジェクト参画企業、各物流担当部門長に聞く2024年の展望

大手食品メーカー(味の素、カゴメ、Mizkan、日清オイリオグループ、日清製粉ウェルナ、ハウス食品グループ本社)と物流事業者(F-LINE)が共同で物流効率化に取り組む「F-LINEプロジェクト」。2024年問題を前に2022年春から第2期プロジェクトを始動、さらに社長直轄の組織として2023年3月「物流未来研究所」を発足するなど、物流課題解決へ向けた取り組みを加速している。かつての「嫌われる加工食品物流」から脱却し「選ばれる荷主」となるため、さらに持続可能な食品物流構築へ―。企業の壁を越え結束し、業界の壁を越えて2024年問題に立ち向かう参画企業6社の物流部門長とF-LINE物流未来研究所長に、プロジェクトの進捗と今後の展望を聞いた。

<九州エリアで共同輸送>
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<各メーカーの商品を載せたトラック>
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荷主と物流企業が一体となり物流の未来に向け取り組む(プロジェクト参画企業一同)

F-LINEプロジェクトは2015年の発足以降「競争は商品で、物流は共同で」の理念のもと「持続可能な食品物流の構築」へ向け、幹線輸送・配送の共同化等の施策を展開し2019年には統合物流会社F-LINEを設立。2022年春には「2024年問題」に適切かつ迅速に対応すべくプロジェクト「第2期」をスタートし、幹線輸送・配送の共同化・効率化と卸・小売と連携した物流効率化に向けて3つのワーキングチームを編成し、2024年問題の先の未来に向けた取り組みを実施しています。これまでに内航・鉄道の共同輸送、中継リレー輸送、東北・中部・北海道の配送拠点統合、長時間待機・附帯作業解消に向けた納品先との商談などを進めてきました。
2024年に突入し想定外の事態も考えられますが、プロジェクトの強みである「荷主と物流会社が一体となった取り組み」で課題解決を図ります。持続可能な食品物流の為に、本年はプロジェクト参画メーカーはもとより、我々の理念に共感頂け、共に考え課題に取り組んで頂ける多くの仲間を募り、新たなプラットフォーム構築のスタートの年にしていきたいと思っています。(プロジェクト参画企業一同)

<F-LINEプロジェクト第2期 提供:味の素>
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20240215 fline20 520x293 - F-LINEプロジェクト参画企業、各物流担当部門長に聞く2024年の展望

F-LINEプロジェクトでは、第2期から企業の物流担当部長が定期的に集まり「前工程(中長距離輸送)」・「中心工程(配送、配送拠点)」、「後工程(製・配・販物流整流化)」の3つのワーキンググループの活動について、進捗状況の確認・報告などを行っている。この内容は年に1回開催している「社長会」でも共有される。各社のトップが物流を共通課題として捉え、協働していくことで業界全体の改革につながる。また、物流部門だけでなく製造・調達など各部門を跨いで物流改善に取り組むことの重要性を各社の経営トップが理解することは、個社内の改革についても大きな推進力となる。今後、2024年からさらに2030年へ、どのように取り組みを進めていくのか、各社物流部門長に聞いた。

「2024 年はスタート、全体最適へ物流の景色を変えたい」

ajinomoto - F-LINEプロジェクト参画企業、各物流担当部門長に聞く2024年の展望
味の素
食品事業本部
森 正子 物流企画部長

 物流2024年問題は、単年の問題でなくスタートです。取り組むべき課題が明確になり、鋭意進めるのみです。自社で取り組むべきことと、サプライチェーン全体(製造:メーカー・配送:卸売業・販売:小売業)で取り組むべきことを整理し、一歩ずつ前に進んでいきます。そのために、他社・他業界・官民の縦横斜め連携が大切で、個社最適でなく全体最適のために物流の景色を変えていくよう尽力し続けます。

「外装標準化進め、ホワイトで効率化な物流運用を実現」

housefoods - F-LINEプロジェクト参画企業、各物流担当部門長に聞く2024年の展望
ハウス食品グループ本社
生産・SCM本部
樋之津 眞一  SCM部長

 物流の2024年問題を目前に控え、プロジェクト各社と共同拠点、共同配送を強靭化して更なる物流効率の向上やモーダルシフトの推進を目指します。また、個社としても物流運用を見直し、主要拠点への入庫予約システムの増設を図る他、課題商品の外装標準化策についても進め、体制強化に取り組んでいます。数年来、準備を進めてきた各種施策を実行に移す年を迎え、よりホワイトで効率的な物流運用を実現させて参ります。

「調達領域管理で新プロジェクト立ち上げ、選ばれる荷主に」

kagome - F-LINEプロジェクト参画企業、各物流担当部門長に聞く2024年の展望
カゴメ
執行役員
竹内秋徳  SCM本部長

 カゴメでは、「社会的物流課題への迅速な対応により、加工食品物流の持続可能性を確保する」ことを当社SCM部門のミッションの1つとして掲げています。食品の安定供給を維持するためには、製配販三層が連携して将来の社会環境に適した物流基盤を整備していくことが必要です。そのためにカゴメはF-LINEプロジェクトと個社の取り組みの両面で物流課題に取り組みます。F-LINEプロジェクトでは、共同輸送やモーダルシフト、自拠点でのドライバー待機時間の極小化などに取り組みます。また、個社としては、調達領域のデリバリーもSCM部門が管理するプロジェクトを立ち上げ、川上から川下まで一元管理することでサプライチェーンの効率化を図ります。また、廃棄はコスト面だけでなく、食品ロスの面からもなくしていく必要があることから継続して取り組んでいきます。物流における問題は物流事業者の問題から既に荷主の問題へと視点が変わっています。このような取り組みを通じてカゴメは「選ばれる荷主」となることを目指します。

「ピンチはチャンス、自主行動計画を確実に履行・推進」

nisshin welna - F-LINEプロジェクト参画企業、各物流担当部門長に聞く2024年の展望
日清製粉ウェルナ
須貝竜生 ロジスティクス部長

 今年は、「物流の2024年問題」に向けて、全ての業界で物流の効率化に向けた取り組みが進み、「選ばれる荷主」になる努力を怠れば、「製品を運べなくなるリスク」が直ちに顕在化する年になると認識しています。一方で、見方を変えれば「ピンチはチャンス」、社内全部署に物流危機の認識が広まり、持続可能な物流体制の構築に向けて、施策を加速させる事ができます。社内は勿論、施策で水平・垂直連携する各社や、運送会社の方々と課題を共有し、解決に向けて本音で協議し、一丁目一番地の重要事項として、食品物流未来推進会議(SBM)で定めた「物流の適正化・生産性向上に向けて自主行動計画」を確実に履行・推進していく覚悟です。

「先を見据えた次世代SCM基盤整備がミッション」

nisshin oillio - F-LINEプロジェクト参画企業、各物流担当部門長に聞く2024年の展望
日清オイリオグループ
物流統括部
野辺孔一 部長

 当社は「物流2024年問題」に向けて、23年度は最終準備年度としてSCM強化策を実行してきました。24年度はこの先を見据えた次世代SCM基盤整備を実施していくことが、当社物流統括部のミッションとなっております。F-LINEプロジェクト3つのワーキングチーム施策(幹線、共配、足元課題・標準化)と個社の取組施策の両面で物流課題に取り組み、日本植物油脂協会(JOPA)や食品物流未来推進会議(SBM)で定めた「自主行動計画」を達成させることで持続可能なホワイト物流を実現することを目指します。

「物流会社、メーカーと協働歩調で持続可能な物流目指す」

mitsukan - F-LINEプロジェクト参画企業、各物流担当部門長に聞く2024年の展望
Mizkan
生産物流本部
安居浩司 物流部長

 本年は、いよいよ「2024年問題」の影響が具体的に顕在化してくる年となります。F-LINEプロジェクトの取組みの中で、共同輸送の深化、長時間待機・附帯作業解消に向けた納品先様との交渉等、できる限りの準備は進めてきました。また、「物流革新に向けた政策パッケージ」においても小売、卸と歩調を合わせ成案し、問題解決に向けた取り組みを開始しています。想定していなかった問題も出てくるとは思いますが、物流会社、メーカーと協働歩調を取りながら「持続可能な食品物流の構築」へ繋げたいと気を引き締め取り組んでいきます。

「スマート物流へ標準化を荷主と前進、ぜひ「仲間」に」

f line - F-LINEプロジェクト参画企業、各物流担当部門長に聞く2024年の展望
F-LINE
平 智章 所長

 これまで我々は荷主の皆様と一緒にF-LINEプロジェクト活動を通して2024年問題対応も含めた「持続可能な食品物流の構築」へ向け色々な施策を実施してきました。2024年も引き続きF-LINEプロジェクト立案施策の実現へ向けた取り組みを実践して参ります。特に、本年は2024年問題対応含め将来的な物流課題解決に向けたスマート物流の取り組みも推進します。その為にも前提となる「伝票」や「コード体系」、「外装サイズ」等の標準化を荷主様と協業で確実に前進させたいと考えています。また、標準化の推進にはプロジェクトメーカー様以外の荷主様のご協力も必要です。我々と一緒に「持続可能な食品物流の構築」を推進頂ける「仲間」も今年は増やしていきたいと思います。

F-LINEプロジェクトでは、今後、共同輸送についてF-LINEプロジェクト以外の荷主にも連携を拡大していく方針だ。また、DXの取り組みでは、SIP基盤(納品伝票エコシステム)を通じた標準形式での連携によるメーカー~卸間の納品データ電子実証実験に、菓子・日雑用品・酒類等のメーカーと共に参加するなど、業界を跨いだ連携にも注力していく。2015年からスタートしたF-LINEプロジェクトは2024年、物流クライシス回避へ先進的かつ実効性をもった取り組みとなっている。
構成:近藤照美

連載 物流の読解術 第17回:直線型配送における共同配送-物流共同化を考える(5)-

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