西久大運輸倉庫は11月22日、「ドローンを活用した持続可能な地域づくり」に関する3者連携協定の関係にある、トルビズオン、福岡県うきは市とともに、ドローンを用いた物資配送の実証実験を実施したと発表した。
また、JAにじ耳納の里や地域の自治会と連携することで、住民に受け入れられるドローン空路を構築し、今後の社会実装に向けて動きはじめた。
<ドローン物流配送実験を実施>
2022年末のレベル4飛行解禁を前に、西久大運輸倉庫とトルビズオンは、有人地帯でのドローンを用いたラストワンマイル配送を社会実装していくために検討を重ねてきた。今回の実証実験は、10月21日に西久大運輸倉庫、トルビズオン、うきは市の3者で締結した「ドローンを活用した持続可能な地域づくりに関する連携協定」の第一弾となり、地域におけるドローン飛行のための合意形成をどのように進めていくべきか、うきは市との官民連携で地域活性化とドローンを用いた新産業の活用を実現することを目的としている。
<高齢化と過疎化が進むうきは市>
同実験は、うきは市の中心地から少し離れた屋部地蔵公園内にある「屋部山荘」をワーケーション施設と見立て、山荘の庭に設置されたBBQ設備の食材として、JAにじ耳納の里からドローンを飛行させ、地域の職材(果実、ジビエ肉)を配送した。
<レベル2飛行で実施>
飛行ルートは、地権者の承諾を得たルートで計画し、ドローンの飛行下に第三者が侵入しないよう目視人を配置したレベル2飛行でドローンを飛行した。また、飛行中は臨時に設置した「遠隔監視センター」からリアルタイムでドローンの位置や機体情報を配信し、関係者及び市役所職員がモニタリングできるようにした。
<官民連携で、物流と地域課題解決へ>
実験を終え、西久大運輸倉庫の伊東 健太郎 社長は、「有人地帯での目視外飛行(レベル4)の規制が緩和されると、離島や過疎地のほか都市部でもラストワンマイル配送にドローン活用が広がる可能性があると考えている。物流業界が抱える2024年問題への対応策の一つとして、ドローン物流を事業化するため、今後、さらなる実証実験等を通じて安全対策・飛行技術・地域住民との連携・マネタイズ(収益化)手法を確立していきたい」と、コメント。
3者は今後、レベル4実施に向けた航空法改正を見据え、うきは市での採れたて農産物やテイクアウトのドローン配送による労働負荷の軽減、災害時の物資支援、また、ドローンによる災害現場や有害鳥獣の被害状況確認等への活用など町が抱える課題を、官民連携により解決していきたい考え。さらに、軽輸送とドローン配送を組み合わせたハイブリッド型の過疎地配送や、大都市圏までをドローン配送で繋ぐ長距離輸送についても検討、実施を進めていくとしている。
■概要
日時:2022年11月11日 13時〜15時
飛行レベル:レベル2
使用機体:マルチコプター型ドローン DJI製 M300 RTK
搬送重量:1.5kg
搬送距離:約2km
実施内容:ドローン飛行におけるリスクアセスメント、ドローン配送の検証(レベル2飛行)、ドローン航行に対する社会受容確保(上空シェアサービス “ソラシェア”)
実証実験の参加団体:西久大運輸倉庫、トルビズオン、うきは市、JAにじ耳納の里、ルーラルプライド
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