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日本郵船ほか/IoTセンサーを利用、積み荷ダメージリスク軽減へ

2022年12月06日/IT・機器

日本郵船、NYKバルク・プロジェクト、MTIの3社は12月6日、IoTセンサーを利用したドライバルク船の艙内計測の35日間にわたる運用実験が終了し、実航海での有効性を確認したと発表した。

<システム図>
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<通信機と画面の様子>
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航海中の艙内環境の把握はドライバルク船での海上輸送品質を保つ重要な要素。現在は乗組員が定期的に艙内へ入り目視によって積み荷状態を確認することが一般的だが、乗組員による異常の見落としリスクや、荒天時に艙内へ入ることができず点検を行うことができない等の課題がある。このような課題を解決するため、有線での通信、給電を必要とする機器による艙内環境監視技術は現存するものの、本船工事が必要かつ、大きな投資が必要となることから活用は限定的だった。

そこで3社は、本船工事を必要としない独自の新システムを開発した。そのシステムはドライバルク船の艙内の24時間遠隔監視とデータ収集、過去データの分析と未来の状況を予測した貨物ダメージリスクの可視化ができる、積み荷のダメージリスク軽減のための総合管理システム。

艙内からの無線通信、センサー部分への電源供給が困難な環境であるドライバルク船においても、LPWA無線通信技術を利用したIoTセンサーを用いることで、航海中での船倉内の温湿度等の輸送環境を船橋からリアルタイムで遠隔監視が可能。加えて、積み荷へのダメージとなる可能性のあるデータを観測した場合には、アラーム等で乗組員に知らせる機能も実装されている。

更には、艙内に設置するセンサー部分を取り換えることで、温湿度以外にも加速度、漏水、照度、CO(一酸化炭素)などを監視することができる。今後これらのデータを蓄積することによって、過去データ分析からの状況予測も可能になり、更なる輸送品質の向上が期待される。

今回行った実験は、艙内の24時間遠隔監視とデータ収集の運用実験。日本製鉄協力のもと、同社のメキシコ向け鋼材積み本船「GLOBAL MIRAI」の艙内に温湿度センサーを設置し、データを収集。更にそのデータを船橋に送信して、専用PCから艙内状況を監視した。今後はシステム搭載船を増やし、更なるデータの蓄積とその分析を進めていくとしている。

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