三重県、デロイト トーマツ コンサルティング、エアロネクスト、セイノーホールディングス、日本航空(JAL)は1月17日、三重県伊賀市で同県での「ドローン物流」事業モデル検証のための実証実験を同13日に実施したと発表した。
三重県では「空の移動革命」実現に向けて、県内でのドローンを活用した物流のユースケースを検討した上で、それに対応した事業モデルを構築し、課題を抽出・解決することで、ドローン物流の事業化を目指している。
同実証実験は、この取組の一環として、2022年度に検討を行った事業モデルについて、ドローンの飛行に関する課題を抽出することを目的に行った。
実証実験では、「買い物代行」と「宅配輸送」の2つのユースケースを想定。モニター役の地域住民へサービスを提供するとともに、アンケート等を通じてサービス利用者・提供者それぞれの観点から、構築した事業モデルの「実現可能性」や「持続可能性」を検証した。
機体は、エアロネクストがACSLと共同開発した物流専用ドローン「AirTruck」を使用。ドローンの飛行レベルは無人地帯上空での目視内自律飛行によるレベル2で行った。
「買い物代行」の実証実験では、買い物に関する選択肢(場所・品目)が少ない条件不利地域で、買い物代行とドローン配送を行うことによる「買い物難民」問題の解決を目指した。
住民モニターが注文した煎餅やチョコレート等で構成される「お菓子セット」(約3kg)の各商品をスーパー(アニーズ三平)で買い物代行し、隣接するせせらぎ運動公園(伊賀市平田)から大山田東グラウンド(同猿野)までの片道約9kmを、ドローンによって約20分で配送した。
到着した商品は偏ったり崩れたりすることなく、無事、大山田東グラウンドで待っていた地域住民モニターの手に届けられ、商品を受け取った地域住民モニターからは、「お菓子は荷崩れしておらず、入っていた煎餅も割れていない完璧な状態で受け取ることができた。注文からこんなにも素早く手元に商品が届くのはありがたい。今後は高齢化が進み、スーパーへの移動も不自由になると思うが、生活を維持するためにもドローンの活躍に期待している」とコメントした。
「宅配輸送」では、車による荷物輸送の一部をドローンに置き換えることによる物流の効率化を目指した。
荷物輸送量が少ない一方で、輸送距離・時間が長く、物流の効率化が求められる地域で、宅配荷物(約3kg)を伊賀市千歳下水の三重西濃運輸上野支店から、せせらぎ運動公園までトラックで輸送後、その先の大山田東グラウンドまでをドローンに載せ替えて輸送した。宅配トラックと連携したドローン物流の実証実験は、これが国内初の事例となった。
トラックとドローンを組み合わせた物流には、荷物到着までの時間短縮、トラックドライバーの労働時間短縮、走行距離短縮による燃油消費量の削減等、住民と配送業者双方にさまざまなメリットが期待される。
同実証実験に参加した各者は、今後、県内のさまざまな地域課題の解決と地域における生活の質の維持・向上を図るため、実証実験を通じて抽出された課題の解決やその後のドローン物流の事業化を目指していく。
■実証実施体制
プロジェクト全体企画・統括:三重県、デロイト トーマツ
機体運航・実証企画(ルート選定等):エアロネクスト
実証企画(物流ユースケースのアドバイス等):セイノーホールディングス
実証企画(運航に関する法規制のアドバイス等):JAL
フィールド提供:伊賀市、阿波地区市民センター
商品提供:アニーズ三平