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川崎汽船ほか/NEDO実証事業液化CO2輸送実証試験船竣工

2023年11月28日/IT・機器

川崎汽船と、エンジニアリング協会、日本ガスライン、お茶の水女子大学は11月28日、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO」)が実施する実証事業液化CO2輸送実証試験船の建造が完了し、三菱重工業下関造船所で命名・引渡式が執り行われたと発表した。

<えくすくぅる>
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<命名・引渡式の様子>
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実証事業とは、「CCUS 研究開発・ 実証関連事業/苫小牧における CCUS 大規模実証試験/CO2 輸送に関する実証試験/ CO2 船舶輸送に関する技術開発および実証試験」のこと。

実証試験船は実証事業関係各者ら多数の出席者に見守られる中、臨席の経済産業省資源エネルギー庁 資源・燃料部燃料環境適合利用推進課(カーボンマネジメント課)の笹山雅史課長補佐によって「えくすくぅる」と命名された。この船は本日山友汽船に引き渡され、日本ガスラインが傭船し運航を開始した。

「えくすくぅる」は日本のCCUS(Carbon dioxide Capture, Utilization and Storage)事業開発に重要な役割を果たす液化CO2の大量・長距離海上輸送技術の確立を目指し、この実証事業で運用される。CO2を回収地から遠隔の貯留地まで効率的に輸送するためには船舶を用いることが有効であり、その効率性をより高めるためにCO2を液化して大型船で輸送することが求められる。「えくすくぅる=EXCOOL」は、CO2を”COO”と読み替え、船舶の大型化に適した、低い温度の液化CO2輸送の安全なオペレーション技術を確立するという、強い思いを込めて命名された。

CCUSは、「2050年カーボンニュートラル」の実現に不可欠な技術と考えられており、日本政府や企業では2030年からの社会実装に向けた準備が進められている。その中で「アジアCCUSネットワーク」が設立されるなど海外の豊富なCO2貯留ポテンシャルを活用する国際的な動きが進んでおり、日本で回収されたCO2を船舶で海外まで効率的に輸送することも将来的に欠かせない技術となる。この実証事業では、実証試験船「えくすくぅる」を用いて今後タンク内のCO2の輸送条件を変えながら輸送や荷役の実証を行い、環境・安全・経済性などの面において最適なCO2船舶輸送技術の確立を目指す。

実証事業における各社の役割は、エンジニアリング協会(ENAA)は、液化二酸化炭素の舶用タンクシステムを搭載した実証試験船の運用開始に向けこれまで円滑に研究開発を推進しこの度無事実証船の竣工を迎えた。引き続き船舶による液化 CO2 輸送技術や舶用タンクシステムの研究開発・実証試験の企画、評価、解析及び船舶関連の総括を担う。

お茶の水女子大学は、CO2 の状態および相変化制御に関する基礎基盤研究を遂行し、安全な輸送検討に必要な情報を提供する。

川崎汽船は、低温液化ガス船の運航ノウハウを活用し、「えくすくぅる」のリスクアセスメントを行い、オペレーションマニュアルの作成に貢献した。今後も実証データの解析を通して、安全な液化CO2船オペレーション技術の確立に貢献する。

日本ガスラインは、内航ガス船の運航ノウハウを活用し、「えくすくぅる」を運航しながら、CO2 の温度、圧力、流動等のデータ計測を実施し、最適な輸送方法や荷役手法を開発していくとしている。

ENAA、川崎汽船、お茶の水女子大学、日本ガスラインの 4 者はこの実証事業を通じてカーボンニュートラル社会の実現に貢献していくとしている。

■概要
名称:えくすくぅる
タンク容積:1450m2
船長:72.0m
船幅:12.5m
喫水:4.55m

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