国土交通省は7月25日、第2回「ラストマイル配送の効率化等に向けた検討会」を開き、物流事業者やEC事業者の担当者などからヒアリングを行った。
佐川急便の佐藤諒平事業開発部部長は、都市部のマンションへの配送では宅配ボックスや駐車場の不足などが発生しており、過疎地域では輸送効率低下や担い手不足などの課題が深刻化していることを報告。
CBcloudの松本隆一CEOは、低賃金や重労働などによりラストマイルの担い手は入れ替わりが激しいことを説明した上で、同社が運行主体となって荷主と配送パートナーを結ぶ「ピックゴー」の仕組みを通じて、個人事業主の社会的地位を向上させていくとのビジョンを示した。
楽天グループでスーパーマーケットOMO/DX事業企画を手掛ける小林英隆氏は、静岡県の中山間地「オクシズ地域」で実施している買い物支援では、ネットで注文を受けた商品を地域のハブとなる郵便拠点までスーパーマーケット事業者が輸送、日本郵便が公民館などの受け取り拠点に置き配を行い、消費者が受け取り拠点に出向くことで当日配送が可能な体制を構築した例を紹介した。
全日本食品の高崎和雄執行役員サプライチェーン戦略本部副本部長は、「物流効率の観点から中小の小売店には配送をしてもらえない時代が迫っている」との危機感から、ドライ・チルド・生鮮・冷凍・パンなどの異なる温度帯の商品を一括配送することで積載率向上を図った事例を示した。
宮崎県西米良村の黒木竜二村長は、2020年3月に村営コミュニティーバスを活用した貨客混載を開始したことで、住民への買い物支援やバス路線の維持、物流事業者のドライバー負担軽減につながったと説明。
全国新スマート物流推進協議会の理事を務めるエアロネクストの田路圭輔社長は、既存のトラック配送にドローン配送を組み合わせて地域物流の非効率を解決する「新スマート物流SkyHub」では、女性就業者やドライバー未経験者といったトラックドライバーが取り込みづらかった人材の取込みが可能となり、ラストマイル物流の維持に高い効果が期待できるとした。
次回検討会を8月下旬に開いて、4~5の企業・団体の関係者からヒアリングを行うとともに、取りまとめに向けた論点を整理し、9月の第4回検討会で取りまとめ案を提示する。
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