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物流最前線/ZMP 谷口 恒社長(トップインタビュー)

2018年10月22日/物流最前線

「CarriRo」を使った新アイデア、自動化はもう後戻りできない

―― 「CarriRo」では、実際に新しいアイデアによる新しい使い方が始まっていますね。

谷口 台車ですから、基本的には上にモノを載せて移動するのですが、セブンイレブンの物流施設や北海道の生活協同組合コープさっぽろ、北海道ロジサービスの物流施設では、「CarriRo」をそれぞれ複数台導入し、カート連結に工夫を加え、カートを牽引する用途でも利用しています。実は、「CarriRo」の積載力は150Kgですが、牽引力は300Kgもあります。荷物を載せた場合は車輪を圧迫するからです。その牽引力を利用して、何台ものかご台車を連結して運ぶのです。「CarriRo」は、何人分もの働きをしてくれますので、人手不足の今、省人化、効率化に合致し、今後ますます自動化が進むものと思います。

―― もう自動化は後戻りできないと。

谷口 確かに、いち早く自動化に対応しないと手遅れになってしまいます。ただ、一足とびの自動化は危険だと思います。やれるところからやるというのがZMPのスタンスです。例えば、自動倉庫でも電気が止まれば動かなくなるリスクがあります。リスクをどう捉えるかは大切です。我々のやっているのは、現在のインフラをなるべく変えずに、生産性を上げるために、コストをかけずに自動化を目指すということです。

―― トラックの自動化については。

谷口 現在のトラックや乗用車、二輪車の混在している道路事情では、トラックの自動化は時間がかかると思いますね。まずは乗用車の自動化で技術を蓄積する時期で、国による大胆な規制緩和も必要になります。

―― ZMPでは、ドローンの開発も行っています。

谷口 ソニーと共同で作ったエアロセンス社がドローンを担当していますが、物流用途には今の所不向きだと思っています。離島とか山間部での緊急物資の輸送や建設現場の測量といったものが中心になると思います。都会の空をドローンが飛び交う風景は想像できません。特に、安全面からすれば墜落する危険性は、長い歴史のあるヘリコプターより格段に高いと思います。

―― ZMPのサイトで掲げている「デモは卒業、商業化へ」ですが、今後、本格的な拡販につなげていくと。

谷口 そうですね。商業化に向けたロボット技術の蓄積はできて来ました。おかげさまで、ユーザーからの問い合わせが多く、現在は社員がそれぞれ対応していますが、全国各地からですので対応しきれていないのが現状です。ネット販売のように「ポチ」と押してくれれば売り上げになるようなものではないので、操作説明や試験運転などはどうしても必要です。早期に代理店を含めて、体制を整備していきたいと思っています。

―― ところで、現在さまざまなロボット開発を進めていますが、社長として、ストレスに感じることは。また、その解消法は。

谷口 ストレスは全く感じていません。どんなロボットを作ろうかと考えるのはとても楽しいのです。さらに、アプリケーションの製作やデザインなども大好きです。実は、現在東京芸術大学の大学院博士課程で学んでいまして、卒業論文を執筆している最中です。テーマはロボットデザインです。写真撮影も好きですので、外見上、何が魅力的に感じるのかを客観的に評価できることが仕事にも繋がり有意義だと感じています。

<ZMP 谷口 恒 社長>
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■プロフィール
1964年生まれ。兵庫県立姫路東高等学校、群馬大学工学部卒業。制御機器メーカで商業車のブレーキシステムの開発を、商社で海外営業に従事。2001年ZMP創業。制御機器メーカーでアンチロックブレーキシステム開発に携わる。その後、商社で技術営業、ネットコンテンツ会社の起業などを経て、2001年にZMPを創業。家庭向け二足歩行ロボットや音楽ロボット開発・販売を手掛け、2008年から自動車分野へ進出。メーカーや研究機関向けに自律走行車両の提供を行う。現在、RoboCarシリーズ、AUTO TAXI(無人走行)、物流支援ロボットCarriRo 、宅配ロボットCarriRo Delivery、ドローンなど、様々な分野へのロボット技術の展開”Robot of Everything”戦略を進めている。2016年より東京藝術大学大学院美術研究科博士後期課程に在籍。

■ZMP
https://www.zmp.co.jp/

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