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冷凍冷蔵倉庫からデータセンターまで
蓄積した技術とノウハウで応える

2021年10月01日/物流最前線

<防熱耐火パネル>
20210927toakk7 - 物流最前線/東亜建設工業 秋山 優樹 社長インタビュー

<秋山社長>
20210927toakk8 520x347 - 物流最前線/東亜建設工業 秋山 優樹 社長インタビュー

ECI方式、相談室設置、防熱耐火パネル

――  好調に推移している物流施設建設ですが、御社が一般倉庫や冷凍冷蔵倉庫を手掛けるようになった経緯とは。

秋山  弊社は創業が1908年で約113年の歴史があります。当初は戦前の川崎や鶴見等の京浜工業地帯の埋め立てや港湾整備から始まった会社でしたが、その後全国の港湾建設事業に進展していきました。そのような工業地帯に進出してきた顧客企業とはその後も長いつきあいが続いていました。その顧客企業からの話もあり、約20年前から倉庫建設を建築部門の得意分野にしようという話になり、物流倉庫、冷凍冷蔵倉庫の取組み強化が始まったわけです。代表的な物件には川崎の東扇島で設計・施工を行った免震構造のマイナス25℃の冷凍冷蔵倉庫があります。これは国内初の免震構造の冷凍冷蔵倉庫です。

――  東日本大震災の時はいかがでしたか。

秋山  実は、この建物が完成して引き渡した後、すぐに東日本大震災がありまして、すでに商品は納入されていましたが、ほとんど荷崩れもせず、影響は微々たるものだったようです。これに対して非常に高い評価をいただき、その後冷凍冷蔵倉庫での免震構造を選択肢の一つとして考えることが一般的になりました。顧客の信頼を勝ち得ることができたことが、その後の弊社の展開に大きな貢献を果たしたと言えるでしょう。

――  免震構造が実際に証明されたわけですから、高い信頼を得られますね。

秋山  そうですね。その後設計・施工案件も増えてきます。そこで10年前に本社の設計部の中に冷凍冷蔵倉庫専属の設計要員を配置しました。同時に、支店には営業と工事部門の専属部署を設置しました。

――  案件受注にはさまざまな形式があると思いますが、契約に至るまでの御社の方策とは。

秋山  顧客と契約に至るまでの入札方法はいくつかあり、その一つにECI(Early Contractor Involvement)方式というのがあります。これは、プロジェクトのスタート段階より施工会社の技術を設計内容に反映させることで「コスト削減」や「工期短縮」を目的としたものです。弊社は、これまで蓄積してきた技術やノウハウを設計段階から盛り込むことで、ユーザーのニーズに応えることができます。最近では、官庁契約でも、取り入れられることが多くなっており、このような提案は非常に手間がかかりますが、これによって本当に顧客のニーズに沿ったモデルが実現するわけです。

――  顧客のニーズをつかむというのは営業の基本ですね。

秋山  そういうことです。ただ、そのためには常に情報に敏感でアンテナを張り巡らせてキャッチする体制が必要で、それを実行していないと顧客のニーズをつかんで売り込むことはできませんからね。契約はさまざまで、当初から設計されたとおりに建造してくれという、いわばコスト競争オンリーの案件もあれば、協議しながら決めていくパターンもあるなど多種多様で、それぞれに臨機応変な対応もまた必要です。

――  「冷蔵倉庫の相談室」を新設したと聞いていますが。

秋山  冷凍冷蔵倉庫は、その特性から結露等の問題が発生することがあり、古い倉庫だとなおさらです。そこで私どもでは今年の2月1日に「冷蔵倉庫の相談室」を設置しました。相談を受けて、リノベーションしたほうが良いのか、建て替えた方が良いのかの診断をお伝えするものです。これまで他の会社が作った倉庫も含めて9月1日までに29件の相談が寄せられています。これらのご相談に対して丁寧な対応を図っていけば、顧客の課題解決につながるとともに、弊社にとっても新たなるビジネスチャンスが生まれるものと思っています。

――  リノベーション等も行うのですね。

秋山  新築だけではなく、改修工事にも力を入れています。ドライ倉庫を冷蔵倉庫にするといった難しい案件もすでに実行しています。顧客の抱えるさまざまな課題に対し最適な解決策を提案していきます。

――  冷凍冷蔵倉庫向けの「防熱耐火パネル」を開発し、国土交通大臣の認定を得ていますね。

秋山  冷凍冷蔵倉庫の肝の部分は防熱と防湿管理です。その意味からこれまでは高品質な高額な海外製品を使用しながら、コストも抑える提案をしてまいりました。そしてこの度、当社独自の「防熱耐火パネル」も開発し、国土交通大臣認定を取得しました。今後、これらをどんどん活用していきたいと考えています。

――  「防熱耐火パネル」のメリットは高品質ながら低コストということですか。

秋山  「防熱耐火パネル」は当初から断熱材を吹き付けてあるため、工事現場で吹き付ける必要がありません。断熱材は引火性が強く、危険でもあります。このパネルを使うと、工事現場での吹き付け作業が必要なく、工期短縮にもつながり、現場の安全面も改善します。これからはこれを大々的に提案していこうと思っています。

――  これは実用化されていますか。

秋山  今現在設計している関西の大手物流企業の冷凍冷蔵倉庫に採用して組み込んでいく予定です。

<冷蔵倉庫の相談室のパンフ>
20210927toakk9 - 物流最前線/東亜建設工業 秋山 優樹 社長インタビュー

https://www.toa-const.co.jp/tech/refriger_sodan/

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