利便性とスピードに応えた
ラストワンマイル戦略

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アマゾンの物流部門の一本部を担当するのが「アマゾンロジスティクス事業本部」だ。2年半前に誕生したが、その経緯は「どうしたら顧客により良い配送体験を提供できるか」だった。販売事業者の一本部部門として顧客を第一に考えることは当然のことだ。しかし、実現するためには、顧客にとってより良い配送体験とは何かを突き止めなくてはならない。そしてアマゾンが辿り着き、基本に据えた答えが「利便性とスピード」だった。そのために各種インフラの整備、各地での実証試験、そして最終的に顧客の反応を丁寧に分析して実現していく。現在はコロナ禍の中での配達需要の急増とさらなる課題が持ち上がっている。アマゾンの今後のラストワンマイル戦略についてシング・アヴァニシュ・ナライン事業本部長に聞いた。
取材:12月17日 於:アマゾンジャパン本社

<シング・アヴァニシュ・ナライン事業本部長>
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<アマゾンジャパン本社>
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<玄関への置き配>
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<ガスメーターへの置き配>
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利便性とスピードを追求

――  最初にアマゾンロジスティクス事業本部とはどのような組織ですか。

シング  アマゾンの物流部門は大きく2つに分かれており、一つは顧客が商品を注文した時から始まるフルフィルメントセンターの業務、そしてもう一つがロジスティクスの部分です。アマゾンロジスティクス事業本部は約2年半前にスタートした組織です。どのようにしたら顧客により良い配送体験を提供できるのかということで立ち上げたものです。私たちは、顧客を一番大切に考えている会社という自負を持っていますので、すべてのテクノロジーやプロセスをすべて顧客目線で考えて、いろいろフィードバックを受けて、テクノロジーやインフラに反映させたいと考えています。その部分で最高の品質、スピード性、利便性といったものを常に重視し追求している組織がアマゾンロジスティクス事業本部です。
一方で、チームも大切にしているものの一つです。このチームというのは、ネットワーク上の従業員や、個人事業主や外部委託業者のドライバーの人々です。こういった人々に快適な業務環境を提供することも大切にしています。そして、このチームのすべての人々が健康と安全なら、顧客にも安心・安全が届けられるものと信じています。これらの考えのもとで活動を続けてきました。

――  これまでの事業本部の活動にはどのようなものがありますか。

シング  これはコロナ前から始まっていた活動ですが、「スピードと利便性」をどう実現するかですね。まず利便性から説明しますが、顧客の意見や感想等をフィードバックし、新たに3つのプログラムを立ち上げました。一つ目はすっかりおなじみになった「置き配」のサービスですが、大変好評を得ています。「置き配」というのは、2つの主な利点がありまして、一つは再配達の頻度が減ったことです。再配達をしないことで顧客は時間を気にしなくて済むし、ドライバーさんの負担も減り、CO2排出量の削減にも貢献できます。

――  利便性とスピードを中心に据えた理由は。

シング  まず、日本というマーケットの構造ですけど、日本人の特徴として、利便性とスピードを強く求めている傾向があります。日本では、お届け日時指定便というのがあります。これはやはり日本独自のサービスであり、例えばスピード便といっても夜に届く、翌日に届くといったアバウトな外国の概念からは考えられない、何時から何時の間というきめ細かさです。これは明らかに日本的ニーズなのです。ですので、アマゾンでも、朝の8時から夜の9時まで5段階の時間帯に分けて、選べるようにしています。それが利便性、正確性という意味にもつながりますね。

――  「置き配」の実施には安全面で懸念はなかったのですか。

シング  「置き配」というサービス実現には、我々も結構熟慮を重ねてきました。なので、まずは岐阜県の多治見市という小さいエリアで試験的に行いました。そこで結果を分析して段階的にプロセスを踏んでいこうとしました。実際、大きな問題もなく、多治見市の人々の反応も非常によく、これなら地域を拡大していこうという結果になったのです。ただ、その時フィードバックされた意見も参考に改良を重ねているわけです。現在、「置き配」を利用するにあたって、どこに置くのか、宅配ボックス、ガスメーターボックス、玄関、自転車のかご、車庫、建物内受付/管理人といった選択肢を6つ設けています。

――  その後東京をはじめ、多くの地域で「置き配」サービスの展開を始めました。

シング  東京となると、また事情が異なってきました。岐阜県の場合は、割と一軒家が多かったのですが、それに比べて東京はマンションや集合住宅、高層ビルが多いので、新しい課題が見えてきました。それで、次にどうしようかと考え、さまざまな手をうってきたわけです。この繰り返しですね。この時に大切になったのが、置き配をしてほしい場所を6つの中から選択でき、それを確実にドライバーや配達員に伝えるという我々のテクノロジー導入ですね。ここには注力しました。もちろん置き配を利用しないという選択肢もあります。その結果、顧客の満足度も高かったので、このサービスは活用できるものと実感しました。顧客が不在でも荷物が確実に届いているということは、大きな利便性ということがいえます。

――  利便性についてのほかのプログラムとは。

シング  2つめとなるのが2019年10月に始めたロッカーのプログラムです。現在、全国で2000個のロッカーを活用いただいています。家で不在であっても希望するロッカーで受け取れるというものです。2年間で2000個まで増やしましたが、最新のプログラムはより小さいサイズのロッカーの設置で、電力消費の低いロッカーというものを取り入れています。そして、3つめとなるのが、「Key for Business」です。これはマンションの顧客がより便利に商品を受け取ることができるように、ドライバーの配送アプリからドライバーがオートロックマンションを安全に解除して入り、顧客が指定した方法で商品を配送するものです。これらのことで不在時でも置き配を利用できるようになり、再配達は減少しました。

――  オートロックマンションは本当に増えました。

シング  「Key for Business」のサービスは日本がアジアで最初に行ったプログラムです。日本は集合住宅が多く、最近ではオートロックのマンションも非常に多く、中々配達時にマンション内に入れないので置き配ができないということが多くありました。また、在宅でもリモート中でインターホンに出られないといったこともあり、そのようなときに配達員が配送アプリから安全にオートロックを解除して顧客の指定した方法で配送を完了することができるようになったわけです。この「置き配」と「Key for Business」を掛け合わせたものが、やはり利便性というものだと思っています。

――  「Key for Business」のサービスが使えるマンションの数は。

シング  2021年4月に始めたサービスですが現在1000棟にまでなっています。まだまだ先は長いと思いますが、さまざまな管理会社と提携して、私たちのインフラとテクノロジーを利用してもらうことで、今後より多くのマンションに提供していきたいと思っています。

――  利便性とも大きくかかわってきますが、スピードについては。

シング  新たに即日配送というサービスを東京で立ち上げています。これはクリスマスシーズンや年末年始需要等に向けて立ち上げたものです。アマゾンは2009年、日本で初めて「当日便」を導入し、多くのアマゾンプライム会員の顧客に、800万点以上の商品が対象となる、無料の「当日便」を利用してもらっています。また今回の配送オプションにより数十種類のカテゴリーから最大150万点の商品を、配送料無料で東京で対象の21区に届けます。プライム会員の顧客は、午前9時までの注文で、同日午後4時から午後8時の間に、また午後1時までの注文で、同日午後6時から午後10時の間に商品を受け取れるようになりました。これにより、プライム会員の顧客は商品の受け取り時間を予測しやすくなり、より便利に買い物を楽しめることになりました。

――  スピードについては、ライフコーポレーションさんと生鮮食品最短2時間配送というサービスを拡大中ですね。

シング  この2時間の配送プログラムはかなり好調と聞いています。これを担当しているチームは顧客の配送体験の向上に大きく寄与しているものと思いますが、今のところ私も公表できるような詳細な情報は持ち合わせていません。

<宅配ロッカー>
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<Key for Businessのイメージ>
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<ライフコーポレーションとのサービス>
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