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「歩かない物流センター」実現
エレコムの物流センター戦略

2022年07月12日/物流最前線

<ホクショーのAGV>
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<クロスベルトソーター>
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<ピッキング作業の様子>
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ホクショーのAGVをカスタマイズ

――  中心となるセンターの設備面についてお伺いします。先ほど、センター内を見学させていただきましたが、従業員の方が少なかったですね。

  それがこのセンターの大きな特長である「歩かないセンター」のコンセプトの結果です。根本の課題が労動力不足とEC需要増加に伴う市場の変化に対応することでしたので、これまでの労働集約型では限界だと考えていました。やはり機械化、自動化で省人化を実現し、労働力不足に対応することが必要でした。そこで、ワークサンプリングをした結果、歩行行動が約20%もありました。この部分を短縮して歩かない倉庫にすれば効率も上がるし、従業員の疲労も減少すると考えたのです。約2年前から考えていたことで、物流事業者さんやメーカーさんの様々な倉庫を見学させてもらいました。

――  様々な倉庫を見学しての感想は。

  それぞれが特徴のあるシステムと機器類で素晴らしかったのですが、やはりそれぞれに長所と短所はありました。単純に素晴らしいと感じたシステムでも、当社には全く当てはまらないものもありました。しかし、技術革新の速さには驚きましたね。

――  AGVは初めて見るモデルでした。

  AGVについては、基本的に海外製品は避けて国産を採用しようと考えていました。やはりアフターのことがありますし、意思疎通もしやすいですからね。しかし、国産製品はお隣のモノタロウさんで使用されている日立製のラックル程度しか知らなかった状況でした。このモデルはホクショー製ですが、ホクショーの自社工場で見たときは、当初「遅い」と感じました。

――  遅い、と感じた機器を選択されたのですか。

  実は、ホクショーさんとは長年にわたり垂直搬送機やソーター等でお世話になっており、信頼関係もあったので工場で見せてもらったのです。そこで、スピード等の不満点やこうしたことをやりたいという希望を話しているうちに、一緒に開発していこうという話になったのです。ですので、このモデルの外観は別にして、中身はすべて一新しています。全面カスタマイズということですね。現在、パレット搬送で使っているAGVは20台になります。

――  歩かない物流センターの足の部分が確定したわけですね。

  全体的には倉庫スペースを3区画にしています。入荷エリアに入荷した商品を保管エリアへパレット搬送し、ピッキングサイト、そしてソーターという流れにしており、最終的に出荷エリアという流れです。その間の荷物の動きを自動化しています。エレコム製品は倉庫内の8割の部分でこのシステムで動かしていますが、2割はグループ会社のDXアンテナの倉庫スペースとして利用しています。

――  立体自動倉庫をピッキングエリアで展開されています。

  ここが肝ですね。特に高速化と小型化を追求したシャトル式立体自動倉庫システム「SAS-R システマストリーマー」と、人がなるべく動かず、物が人のところに来る、という発想の「GTP(Goods To Person)」19台を組み合わせることで、超高速ピッキングを実現しました。1日10万個から15万個のピースピッキングを実現しています。作業者の負担軽減と、大幅な生産性向上を可能にした近未来型のシャトルシステムになっていると思います。

――  そのほか、自動梱包機や自動封緘機等も配置されていますね。

  自動梱包機は実際に運用していますが、自動封緘機は現在試験的に運用しています。

――  このセンターの受け持ち範囲は。

  相模原が東日本全体、兵庫が西日本全体をカバーしています。東西の境目は中部、甲信越になります。

<自動梱包ライン(小型梱包)>
20220711elecom8 - 物流最前線/エレコムの物流センター戦略

<自動梱包ライン(大型梱包)>
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