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日本郵便/新開発の物流ドローン、積載量2.5倍、飛行距離3.5倍に

2022年12月06日/IT・機器

日本郵便、日本郵政キャピタル、ACSLの3社は12月6日、新たに開発した物流専用ドローンを公開した。

3社は2021年6月に資本・業務提携を締結し、郵便・物流領域での連携としてドローンによる配送の実用化に向けた取り組みを進めている。ドローンの開発はその成果の一つだ。

<新機体>
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<安心感を持ってもらえるよう、ドローンでは珍しい「顔」のあるデザインを採用>
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<揚力を最大化するため、飛行機の主翼と同様に、正面(写真右側)から後部にかけて細くなる形状を採用している>
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<機体後部にある窪みも、揚力を確保するために設けられたもの>
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新機体は、12月5日に解禁されたレベル4(有人地帯での補助者を配置しない目視外飛行)を前提に開発したもの。

有人地帯上空を飛行することから、ドローンへの安心感を持ってもらうため、全体的に丸みを帯びた親しみやすいデザインを採用(デザインはプロダクトデザインコンサルタントのTakumiYAMAMOTOが担当)しているほか、非常時の安全な離着陸を可能にするなど、高い安全性と信頼性を備えている。

日本郵便に実証実験等で提供している従来型の機体「ACSL-PF2」との比較では、ペイロード(最大積載量)を2.5倍の5kgに拡大。また、空力シミュレーションや空洞実験を通して空力を最適化し、最大飛行距離を3.5倍の35kmに向上させた。

荷物は、機体上部から配送物を収納し、機体下部から切り離す構造を採用し、ドローンを使用する側と荷物を受け取る側双方の利便性を追求している。

<機体上部にある荷物の収納口(写真上)と搬出口(下)>
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<新機体の披露会見、機体を挟んで右が日本郵便の金子 道夫専務、左がACSLの鷲谷 聡之社長>
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3社は、新機体について2023年度中の飛行実証を目指しており、実証結果をもとに日本郵便が業務への導入を検討していく。

新機体のお披露目会見には、日本郵便の金子 道夫専務と、オペレーション改革部の西嶋 優 部長、機体を開発したACSLの鷲谷 聡之社長が登壇。

金子専務は「12月5日に改正航空法が施行となり、ドローンの国内実装がより実現に近づいた。これを弾みに新しい技術と物流の融合を図る取り組みを強化していく」と挨拶。

西嶋部長は「新機体に最も要求したものはペイロードと飛行距離の拡大だ。これによって、ドローン配送が従来のラストワンマイル配送に加えて、郵便局間の輸送等にも使えるようになり、用途の幅が広がった。実用化された際は、車両による配送では大回りせざるを得ないような地形(山間部など)での運用を想定している」と、今後の運用方針を語った。

鷲谷社長は「新たに開発したこの次世代のドローンが、ドローン配送をこれまでとは違う新たなステージへと引き上げる。新機体は生活空間へ溶け込むために、ドローンに親和性や愛着を持ってもらえるよう、デザインを圧倒的に追及した。将来、このドローンが飛行しているのを見て『あ、郵便だ』と認識される日がやってくることになる」と、新たなドローンへの自信を覗かせた。

■新機体の想定仕様
全長:1.5m×1.7m
高さ:0.5m
最大離陸重量:24.9kg
ペイロード:5kg
最大飛行距離:35km

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