ジェンダーの壁を感じない職場
―― 中野さんは今回の取り組みの統括的な役割ですが、アマゾンに入社する前も同様のお仕事をされていたのでしょうか。
中野 2022年に入社して約1年になりましたが、以前は美容業界で働いていました。当時、自分でスモールビジネスをやっており、少人数のマネジメント経験はありましたが、ピープルマネジメントを学びたくて、その後大学院でMBAを取得しました。大規模のピープルマネジメントを行いたくてこの船橋デリバリーステーションに管理職として入社したのです。
―― ピープルマネジメントとは。
中野 価値観の多様性により従来のマネジメントでは難しい人材育成のための新しい手法です。メンバーのパフォーマンスの向上、仕事への取り組み方などを含む各メンバーの成功にコミットするマネジメント方法で、その目的はメンバーのマネジメントを実施し、組織の成果を可能な限り高めることにあります。
―― いきなり物流業界に飛び込んだわけですね。何が決め手になったのでしょう。
中野 ディレクタークラスの方との面接の段階で、すごくオープンマインドな雰囲気で面接を楽しむことができました。女性の活躍を本気で願っているということがストレートに伝わり、この会社だったら活躍できるかもと感じました。
―― 具体的にはどのようなことでしょう。
中野 これはアマゾンの社風そのままなんですが、決まりきったことをやれと言われるより、どんどんイノベーションや改善、新しい発想といった提案を評価される社風だと面接で感じました。自分が過去に行ってきたことも評価されましたし、固定観念にとらわれず新しいものを生み出していくことを求められていると感じ、すごく私に合ってるなと感じましたね。
―― これまでの職場が女性の多い美容業界でしたね。物流業界でやりづらさといったものはなかったのですか。
中野 以前は確かに女性ばかりでした。私自身、男性と働いた経験があまりなく、若干不安はあったのですが、上司を含め多くの仲間にサポートや応援をいただき、ダイバーシティのある、とても居心地の良い環境で仕事をさせてもらっています。
―― 当然、男性の部下もいらっしゃると思いますが、扱いづらいと思ったことはありませんでしたか。
中野 当初、仕事上で慣れないことは当然ありましたが、基本的にジェンダーの壁というものは感じられませんでした。ピープルマネジメントを学んできたこともありますが、この学問には終わりがないですから、今まで以上に多くのマネジメントをしていく中で、自分自身も成長していくように感じています。
―― それでは、佐藤さんの入社の経緯をお聞かせください。
佐藤 船橋DSオープン時から在籍していますが、入社して1年半ですね。以前はサービス業とホテル業界でした。この2つとも女性が多い職場ですが、船橋デリバリーステーションの女性の比率が高かったことも多少はあったかもしれませんが、あまり抵抗感なく飛び込めました。倉庫=暗いといった漠然としたイメージ程度で、物流の知識がなくても、女性だからどうのといったことは職場において1回も言われたことがなく、従業員みんなが男女別なくコミュニケーションも活発ですので、意見も言いやすく、怖いとか働きにくいといったこともなかったですね。
―― お二方とも華やかな業界からの華麗なる転身ですね。
中野 ここもとても華やかですよ(笑)。アマゾン船橋DSの女性陣は見た目も心も華やかな人が多いし、今日はここにいない男性陣もおしゃれな人が多いですね。
佐藤 今日もみなさんおしゃれな服着ていますね。
中野 そうそう、まさにファッションリーダーの集まりのようですね。
―― アマゾンのブランドにも惹かれたのでは。
中野・佐藤 そうですね。私たちもアマゾンのヘビーユーザーです(笑)。
アマゾンでの国際女性デーの取組
アマゾンジャパンでは2023年の国際女性デーに合わせ、約50人の女性だけでデリバリーステーションを運営する試みを実行した。同社では昨年までも国際女性デーを祝して、社員たちがさまざまな活動を行った。2022年国際女性デーのテーマである「BreakTheBias」(バイアスを打ち破る)を基に、社内で勉強会や有識者を招いての講演会、イベントを開催、さらには、女性リーダーが活躍する中小企業を特集するなど多彩なプログラムを展開した。
これは、アマゾンの、「地球上で最高の雇用主」になることを目指し、社員と共に多様性が受け入れられ、公平で、包括的な職場環境づくりに継続して取り組む企業としての基本方針の表れでもある。