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国交省など/海運モーダルシフト推進へ46社を表彰

2024年05月30日/3PL・物流企業

エコシップ・モーダルシフト事業実行委員会は5月30日、国土交通省海事局の協力を得て選定した優良事業者46社の表彰式を都内で開いた。

ダイキン工業、下関三井化学、活材ケミカルの3社が革新的な取り組みとして「海運モーダルシフト大賞」を受賞した。

<荷主23社、物流事業者23社が表彰された>20240530mlit1 - 国交省など/海運モーダルシフト推進へ46社を表彰

実行委員会は、フェリー事業者、RORO船、コンテナ船、自動車専用船などの内航事業者で構成。海上貨物輸送量(トンキロ)50%以上を利用、それによりCO2排出量15%以上削減した事業者を表彰している。今年度は、昨年度(27社)を大きく上回る46社が優良事業者として選ばれた。

<挨拶する国交省 海谷厚志 海事局長>20240530mlit2 - 国交省など/海運モーダルシフト推進へ46社を表彰

表彰式では、来賓として国交省の海谷厚志 海事局長が「海運のモーダルシフトに対する期待と注目は、『物流の2024年問題』でかつてなく高まっている。国交省としてもRORO船やコンテナ船事業者の取り組みを積極的に支援していきたい」と挨拶。

主催者を代表し、実行委員会の芦澤潤 座長は「まさに今年度は働き方改革が導入され、モーダルシフトへの注目やニーズの高まりを感じている。しかしこれはいつの時代であっても地球にも社会にも良いもの。世間の認知向上に努めたい」と述べた。

<大賞に選ばれた3社の記念撮影>
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今回、大賞に選ばれたのは、物流事業者・活材ケミカルの仲介で発荷主のダイキン工業と着荷主の下関三井化学が連携した、再生蛍石を運ぶ「海運による静脈物流」の取り組みだ。

ダイキン工業が鹿島製作所の再生蛍石(年間2000トン)を茨城県神栖市から山口県下関市まで陸上輸送していた一部を、100%海上輸送にシフトし1083km(東京港~北九州(門司港)の長距離輸送を実現した。

リサイクル輸送では異例の1000kmを超える長距離輸送には、21トンまで積める専用海上コンテナを開発。大ロットでのコンテナ物流体制を構築し、陸上輸送と比べCO2排出量を69.2%削減でき、トラック運転手の労働時間削減にもつながるなど、2024年問題解消に大きく寄与した。

再生蛍石は、下関三井化学がフッ素系廃棄物に含まれるフッ素を有効活用してリサイクルしたもので、輸入に頼っているフッ素の国内利用の道を開拓した点も評価された。天然の蛍石(フローライト)は半導体の原料などに使われているが中国が主産国。日本で生成される再生蛍石は今後、新たなビジネス展開も期待される。

活材ケミカルは、原料の調達先を探していた下関三井化学とダイキン工業をマッチングさせることでフッ素系廃棄物のリサイクル利用に道を拓き、物流についても積極的に関与し、今回の輸送方法実現に尽力した。

ダイキン工業は「せっかく環境に良いことをするのだから輸送も環境に良い方法にしたかった」、活材ケミカルも「これまで廃棄されていたものが下関で再生し、新たな製品として生まれ変わる。資源の少ない日本にとって画期的な取組み」と受賞を喜ぶ。

<冷凍食品を扱うケースも受賞>20240530mlti4 - 国交省など/海運モーダルシフト推進へ46社を表彰

このほか優良事業者としては、味の素冷凍食品とF-LINEの連携事例も表彰した。F-LINEは昨年の大賞受賞に続き、4度目の入賞となる。冷凍食品を扱うモーダルシフトは初めて。このケースでは、年間5944トンを佐賀県佐賀市から千葉県野田市まで陸送していたルートのうち、1494トンを新門司港~東京港1151kmの海上輸送にシフトした。全部が陸上の場合と比べ、CO2排出量は16.5%削減できた。

味の素冷凍食品は製品輸送のパレット化によるドライバーの待機時間や荷役時間削減に取り組んでいる。九州工場から関東への在庫拠点への輸送手段としてモーダルシフトに取り組んだ。「運行ルートの頻度を上げる、中距離でも船を使うなど、今後も積極的に取り組みたい」とし、陸路・鉄道・海上輸送の複線化による安定供給を目指す。課題となっているのは冷凍食品でのパレットの標準化だ。現状、国が推奨する標準パレット(1100mm×1100mm)を使っていないことが多く、F-LINEは「今回、九州ではパレットでの積み込みができるようになったので、次は荷下ろしもパレット化できれば」と期待を込めた。

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