日本通運は9月10日、本田技研工業(ホンダ)と日本貨物鉄道(JR貨物)とともに、ホンダ製EVバッテリーパックの長距離鉄道輸送の本格稼働を開始した。
<納品式典の様子。左から、日本通運 佐々木治 執行役員、ホンダ 大澤裕一 執行職、JR貨物 麦谷泰秀 執行役員>
運搬されるEVバッテリーパックは、ホンダ製EV「N-VAN e:」に搭載されるもの。EVバッテリーパックは大型かつ高精度な部品で、安全かつ確実に輸送するには専用のインフラと高度な技術が必要となる。
そこで今回のモーダルシフトでは、ホンダが積載治具の設計・製作を主導し、日本通運が輸送計画の策定と現場運用を担い、JR貨物が全国を網羅する鉄道ネットワークと高信頼の輸送体制を提供。各社の強みを生かし、安全性・環境性・低コストを兼ね備えた新たな輸送モデルを構築した。
この取り組みにより、茨城県のバッテリー出荷拠点から車両組立を行う三重県のホンダ鈴鹿製作所までの輸送で、宇都宮貨物ターミナル駅(栃木県宇都宮市)から四日市駅(三重県四日市市)までの約500kmに及ぶ長距離鉄道輸送を実現した。
従来おこなってきた全区画トラック輸送と比べ、年間約74.5%(約698.5t)のCO2排出量削減が見込まれる。また、長距離トラック運行に伴うドライバーの拘束時間も約78.8%(約2,542時間/年)削減でき、ドライバーの負担軽減にもつながる。
日本通運は、一連の輸送において、鉄道コンテナを活用した輸送スキームの設計・構築を担い、CO2排出量の削減やトラックドライバーの拘束時間短縮など、従来の物流課題の解決に取り組んだ。
さらに、バッテリーパックの積載治具の積み降ろしを円滑に行うための特別仕様のコンテナ「Hondaラッピングコンテナ」を新たに導入し、安全性と作業効率の向上を図っている。
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