物流最前線 DeNAの挑戦・交通事故のリスクをAI×IoTで削減

2019年08月26日 
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ドライブチャート開発へ、トラックとタクシー計600台で実証実験

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―― ドライブチャートの開発はいつ頃始まったのですか。

川上  サービスの検討を開始した頃まで遡ると2017年の年初あたりからですね。それから2018年の4~10月にかけて実証実験を行い、結果を踏まえて事業化の検討へ移行していきました。

―― 実証実験はトラックとタクシー合計600台を動員した大規模な物だったそうですね。

川上  はい、日立物流や首都圏物流、京王自動車などに協力して貰い、半年をかけて行いました。当時はまだシステムもハードも開発段階だったので、市販のカメラなどを組み合わせた機器を車両に搭載し、システムも仮組みのものを使用していました。JVCケンウッドとハードの開発を開始したのは実証実験の途中位で、ある程度の兆しが見えたころからです。

―― 実証実験に物流企業を選んだ理由は。

川上  交通事故を削減するサービスを作ろうと思った時に、最初のメインターゲットカスタマーとして検討したのが運輸や物流、旅客といった業種でした。これらの業種の企業は課題感を大きく持っている所が多く、運輸安全マネジメントに関するシステムの導入にも非常に積極的だったので、まずこれらの業種へ最初にアプローチすべきだと認識していました。

それから、実運用されている車両の台数規模を考慮して、20数万台のタクシーと700万台のトラックの両方を実証実験の対象に選定し、当時はまだ物流企業とはそれ程付き合いが無かったので、会社訪問から始めて実証実験への参加を呼び掛け、何社かの協力を得ることができました。

―― 物流企業のなかでも日立物流を実証実験のパートナーに選んだ理由は。

川上  もともと、DeNAの社員が日立物流の方と個人的に繋がりがあった関係から、実証実験の協力に関する提案を行ったところ、交通事故削減という内容に共感し、協力してもらえる事になりました。

<実証実験による効果>

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―― 実証実験ではトラック事故を48%削減という大きな成果が出ました。

川上  実証実験を開始する前の段階から、事故を削減することは可能だろうとは思っていましたが、どの程度まで削減できるかは未知数でした。48%という結果は、ある意味ポジティブサプライズでしたね。「ああ、こういう数字がでましたか」と。当初の見立てでは20~25%程度の削減を目指していたので、これは嬉しい想定外でした。実証実験に協力した企業の一部からも、想定していた以上の効果があったという声が上がっていました。

―― 思った以上の効果が生まれた訳ですが、その要因は。

川上  トラックが起こす事故で発生率が最も高いのが追突事故です。幹線道路を一定の速度で走行したり、真っ直ぐで変化の少ない道を走っていたり、そんな環境で車間距離を詰めていたら前の車が急ブレーキを踏んだ時に反応が遅れて衝突してしまう。そこに、ドライブチャートを導入したことで車間距離の遠近を可視化でき、可視化された情報をもとに物流会社の管理者がドライバーに指導したことで、結果としてドライバーの行動が変化し、実証実験期間中の追突事故ゼロを実現できたのだと思います。

―― 開発から実証実験まで、特に苦労されたことは。

川上  実証実験期間が半年と長かったことですね。実験が終わってみないと我々のアプローチが正しいのかどうかが分からないので、途中で自分たちのしていることで効果が出るのだろうかと不安になる時がありました。

<ドライブチャート>

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―― 6月のサービス開始から現在までの反響は。

川上  大きな反響がありました。物流に限らず幅広い業種から問い合わせがきて、現在は我々の方からサービスを説明させてもらっている段階です。こちらから提案して導入を決めてもらった会社では、すでに運用が開始されています。

―― 今後の普及拡大に向けての取り組みは。

川上  まずは色々な場所で紹介することが第一だと思っています。協力パートナーと相談してさまざまな方面へドライブチャートの説明機会を増やしていこうとしている所です。

―― 居眠り運転の検知など、機能追加の予定は。

川上  居眠り運転は技術的な点で可視化することが難しく、研究開発の域を出ていませんが、随時研究開発を進めています。ほかにも研究開発段階の機能が幾つかあり、色々と準備に取り組んでいる所です。

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