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物流最前線 分社化やM&Aで新たな富士ロジを構築

2020年02月25日/物流最前線

<鈴木社長は「分社はまさにパラダイム転換だった」と語る>

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分社の狙いの一つは人材の育成

―― 分社して約6年ですが、そもそもなぜ分社されたのですか。

鈴木 大きく3つ理由があります。1つは「部門収益力を明確にしたい」2つ目に「社員の秘められた力を大きく引き出したい」、そして3つ目に「資本体制を強化し、投資会社へ移行したい」です。2014年に富士ロジトランスを運輸事業部より分社、富士ロジテック・ネクストを設立し不動産事業部などより分社、翌年には、富士ロジテック静岡設立で東静岡事業本部より分社、富士ロジテック浜松設立で西静岡事業本部より分社し、現在までに10社程度の分社を図っています。「収益の明確化」では例えば福岡と東京という事なる2支店で、どちらがより収益力が高く、どのような投資を行うべきかを考えた場合、それを測るモノサシは何を使うかという事です。異なる貨物や異なる賃金・費用体系の基で、売り上げや利益の結果を同じ評価をして良いのか。減価償却している倉庫と賃貸倉庫であるか、などを例にとると分かりやすいと思います。全社員を同じ給与基準で人事評価するのは無理ではないにしろ、公平性が失われ、競争力は確実に失われていきます。

―― 競争力が失われるとは。

鈴木 全国の拠点で同じ貨物を扱うか、もしくは全拠点で収益性のバラバラな貨物を多数扱っていれば良いのでしょうが、我々のそれぞれの拠点では、せいぜい1~2分野程度の物流貨物を扱っているだけです。すべての拠点が異なる貨物を扱っている別会社だとイメージすると良いと思います。大型鋼材を運ぶのも、アパレル製品を運ぶのも、食料品を運ぶのも、同一賃金だと、評価に無理が生じます。それならば、事業体ごとにそれぞれの労働に合わせた賃金体系を作り運用した方が、良いだろうということです。社員の努力に対して、分社前よりも報われる体制に持っていきたかったのです。

―― その後の賃金体系はいかがですか。

鈴木 各社で賃金体系は確実に変わってきていますね。分社スタートした当時は現状維持でしたが、それから6年を経て、業績連動が進みやすい形になっていますね。人は自分が成長できるとわかればものすごくモチベーションが上がります。組織を成長させるには、個々人のやる気が必要です。個々人のやる気を引き出すには、達成、承認、責任、昇任といった価値観を重視して、時にはチャレンジングなゲームとして取り組めるように組織を設計・運営することが大切だと思います。

―― おおむね順調に行っていると。

鈴木 分社する前に、分社時に社長になる予定の人物に聞いたことがあります。「子会社の社長になれば何でも自分で決められるよ」と言うと、「それ、いいですね!」の反応でしたので、分社が機能するとひらめき、実行したのです。が、実際にはいろんな社員がいました。別の子会社社長が「ホールディングスの社長にはいくら給与を払えば良いのか」、「社員や自身の給与をいくらにすべきか」尋ねに来ていました。だから「それを決めるのはあなたですよ、すべての利害関係者を満足させる給与体系を作り、話し合ったり、将来ビジョンを共有して、一時待ってもらったりする、それが社長の仕事です」と。まさにパラダイム転換ですね。

―― 分社に対するホールディングスの位置づけは。

鈴木 私の役割は、富士ロジテックホールディングスのアイデンティティを作ることで、グループの価値を上げることです。各現場の課題については、大変ありがたいことに、各社社長が担ってくれています。グループ内での、人事の流動性、資本の長期安定も私の仕事だと思っています。分社後化、自分たちで現場の課題を考え解決することで確実に人材は育っていますね。

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