物流最前線 分社化やM&Aで新たな富士ロジを構築

2020年02月25日 
物流最前線 Top Interview富士ロジテックホールディングス鈴木庸介 社長

富士ロジテックHDは2014年を初回として2社を分社してから、この6年間で10数社の子会社を網羅するグループ企業となった。物流現場の課題は各社社長に任せ、鈴木庸介社長はホールディングスのアイデンティティを確立することが自分に課せられた任務であるとしている。
昨年12月には、センコン物流との資本業務提携契約を締結した。エリア的な重なりが少なく、両社の業務への補完的な役割を期待すると共に、新たなビジネスを生み出す契機にしたいと語る鈴木社長。今後に向けての富士ロジテックグループの進むべき方向性と、現在の物流環境について伺った。

「業務提携」ではなく「資本業務提携」

―― 昨年末にセンコン物流との資本業務提携を発表しました。

鈴木 12月12日に「資本業務提携契約締結のお知らせ」で発表しました。資本業務提携の目的は、双方の信頼関係を基盤として、両社が保有するアセットや物流サービスにおけるノウハウの共有と補完です。両社でのさらなる事業領域の拡大を実現していきます。

―― 一般的な見方ですが、エリア的に補完関係にあるなと感じましたが。

鈴木 そうですね。東北中心のセンコン物流と、関東・中部を中心とする弊社では、被る地域は少ないですね。また、取り扱い貨物に関してもあまり重複していません。企業文化も異なる部分がお互いの強みになると感じ、相互補完的な新たな取り組みができるのではと考えました。さらに、センコン物流の久保田社長とは15年ほど前に倉庫業青年経営者協議会に入会した頃からの知り合いでしたから、長い時間をかけて、お互いの会社の事も理解を深め合ってきました。

―― お互いどのような点に魅力を感じていたと。

鈴木 私どもの立場から申せば、センコン物流さんの営業活動の強さを感じました。東北地方は人口密度も少なく、総人口も少ない。顧客の分布も我々の中心地域である関東や中部・関西地域とは異なる。そうした中で、顧客と倉庫の立地が離れていることも多く、明確なビジョンを持って営業しなければ、顧客の理解を得難いと思われます。綿密な営業戦略の立案があってこそ、と我々は見ています。マーケティングが上手でスピード感のある営業をなさっていると思います。

―― 富士ロジ・グループの営業については。

鈴木 反対に、人工密集地では、顧客数やニーズが業者のもとに多く集まります。倉庫事業者は限られたリソースの中で如何に多くのニーズに応え続けられるかにやや力点が置かれていると感じます。「頼まれた顧客のニーズにギブアップしない」ことが弊社の方針です。これはこれで現場の力があってこそですし、社会基盤を担う物流サービスという仕事として必要なことだと思っているのですが、「攻める営業」がなかなかできていないのではないかと常々感じておりました。

―― まったく違ったお互いの資質を組み合わせようと。

鈴木 そういうことです。今回、単なる業務提携ではなく、資本業務提携としたのはなぜか、とよく聞かれますが、新しい「何か」を実現するためには、資本業務提携がどうしても必要だったからと考えます。例えば見積書と請求書で片付く関係は、それ以上の事業を産み出しにくいでしょう。業務提携というのは、両社の担当者同士が話し合えば済みます。一方で、私が望んだのは、両社がもっと密接になり、部分的な業務でもあっても、顧客からはまるで一つの会社のように見てもらえる仕事を作りたかったということです。

―― 株の相互持ち合いではなく、センコン物流の45万2000株を引き受けています。

鈴木 これはセンコン物流が所有する自己株式の有効活用という観点で、第三者割当による(自己処分)が合理的だと判断されたためだと思います。増資後の当社の議決権保有比率は8.71%になると発表されています。キャッシュでの引き受けを行った背景は、この時点で私どもにある程度の余裕ができたためということです。キャッシュをため込んでおくのは商人としては悪であり、有効な使い道を見つけて流動させていかないといけないと日々考えています。

―― 今後も資本業務提携やM&A等を活発に行う方針ですか。

鈴木 12月以降、エリアカバーから連想されるのか、「北海道や九州、西日本に拡大するのですか」とよく聞かれますが、「全国を網羅するエリアを整備しなければいけない」的な考えはありません。ただ、社会インフラである物流会社としては、社会基盤たる事業を維持するためにも、戦略もあり熱意もあるような企業に投資していくことはリスクをとってでもやっていきたいですね。今現在の私はマイナー出資が原則だと思っています。株式の50%超を取ってはだめですね。企業の大きさに関わらず、熱意を持っている経営者に大きな魅力を感じています。提携の際は、経営者が存分に力を発揮できるように、邪魔にならないようにバックアップしたい。今の時代、経営者も不足しています。仲間が増えるようなイメージでやりたいといつも考えています。

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