豊田通商は3月5日、経済産業省および国土交通省から受託した「トラックの隊列走行の社会実装に向けた実証」の一環として、2月22日に、新東名高速道路の遠州森町PA~浜松SA(約15km)において、後続車の運転席を実際に無人とした状態でのトラックの後続車無人隊列走行技術を実現したと発表した。
<後続車無人システム動画>
後続車無人システムとは、ドライバーが運転する先頭車トラックが、通信で連結された運転席無人の複数台のトラックを電子的に牽引する隊列走行を実現するシステム。有人の先頭車の走行軌跡を、無人の後続車が自動で追従する制御(先頭車追従制御)と、隊列内への一般車割り込みを防止するため、隊列内の車間距離を常に5m~10m以内にする制御(車間距離維持制御)の2つの制御を使用している。
「高速道路での後続車無人隊列走行技術の実現」の説明会では、経済産業省製造産業局自動車課から植木健司ITS・自動走行推進室長、国土交通省自動車局技術・環境政策課から多田善隆自動車運転戦略官、先進モビリティの青木啓二社長が出席し説明した。
高速道路でのトラック後続車無人隊列走行技術は、トラックの車間距離が10mでも安全に止まれ、ランプへの移行や割り込み車が入らない工夫、入っても安全に止まれるなど、技術的にはある程度確立されたが、これは4万㎞もの公道走行やテストコースでの走行で、蓄えた技術。
高速道路でのトラック後続車無人隊列走行では今後レベル4まで高め、さらには割り込み車への対応、後続車の自律走行、市街地での隊列走行等課題は残っており、2023年度以降に商業化できればとしている。そして、2021年度内にレベル2で有人での隊列走行を目指すとしている。
法的な面では、運転自体は大型免許があればよいが、やはり3台ものトラックで全長60mになるため、市街地での扱いも含めてある程度の研修は必要としている。
商業化についてはいくつかのパターンが考えられ、トラックメーカーが実装して販売することも含めて、トラック事業者が使いやすい形態をとっていくことが検討されている。
なお、豊田通商は2016年度から2018年度までの間、経済産業省、国土交通省から「高度な自動走行・MaaS等の社会実装に向けた研究開発・実証事業:トラックの隊列走行の社会実装に向けた実証」を、受託した。
2019年度以降も豊田通商が引き続き受託しており、政府目標である「2020年度内に高速道路におけるトラックの後続車無人隊列走行技術を実現する」ことを目指して、車両技術の開発と後続車無人システムの実証実験を進めてきた。
今回実現したトラックの後続車無人隊列走行技術は、3台の大型トラックが、時速80kmで車間距離約9mの車群を組んで走行するもので、無人状態で車間距離維持や先頭車追従を可能とするもの。今後、豊田通商は、これまでの実証で得られた知見を生かして、国内の陸上輸送の効率化に貢献していくとしている。