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「退路を断ち 前進する業務改革」
基盤施設の再構築を図る

2022年01月05日/物流最前線

<意識の改革が必要と語る小丸社長>
20211220fukutsu6 520x347 - 物流最前線/新春トップインタビュー 福山通運 小丸成洋 社長

持続可能な物流事業の策を考えるとき

――  現在の日本の物流事業を取り巻く経営環境についてはどのような見方をされていますか。

小丸  言うまでもなく物流事業自体は労働集約産業です。一番懸念しているのがやはりドライバー不足ということです。実際ドライバーはいないんじゃなくて、いるけれども仕事に見合う給与なり安定した職場を提供できていないことにあると思います。以前のトラックドライバーの給与は他の職業に比べて相対的に高かったわけですからね。それを実現するためには、原資となる利益を安定的に得られる持続可能な物流事業の新しいシステムを構築していくことしかありません。

――  現在、物流事業者は6万社を超えていますね。

小丸  やはり厳しい経営環境の中では、事業者の「淘汰」は避けられないと思いますね。物流事業も構造的に多層階になっており、経費もペイできない価格で引き受けるなんて、それこそ持続的な企業の成長など臨めませんね。

――  M&A等でドライバーを獲得するという流れもあるようですが。

小丸  ドライバーというのはM&Aで獲得しても多分長続きはしません。やはりそこが一番の問題なんです。運送会社というのは、ドライバーが長く勤められ、給与も相応の待遇で安定的に昇給していくような環境を作っていかないと、運送会社としては今後成り立たないと思います。

――  なかなか難しい課題ですね。御社では何か方策を。

小丸  そのためには、労使協調体制による経営が必要です。働く側と経営側がお互い壁を作らず、透明な労使協調を構築することです。そのため当社では組合から必ず一人は役員が選出されるようにしています。それはやはり働く側の考え方を知らなくては経営などできませんからね。それから、今後は女性の役割が重要になりますから、女性の役員なり管理職を増やしていかなければならないと考えています。

――  コロナ禍により、EC需要が拡大し、ラストワンマイルの問題が提起されるなど、物流というものが国民の間にも浸透してきました。

小丸  興味を持ってもらうのはありがたいですが、なかなか運賃は上がらないですね(笑い)。運賃が高いという認識だけでは、いずれその事業者の荷物が運べない時代が来るかもしれないということも想像してほしいですね。また、価格を追っかけている物流事業者は、おそらく設備投資ができなくなるだろうし、従業員の雇用もできなくなります。そういう意味では、2020年の4月24日に国土交通省が標準的な運賃の告示を行いました。「法令を遵守して持続的に事業を運営する際の参考となる運賃を示すことにより、トラック運送業における取引の適正化・労働条件の改善を促進」というものであり、画期的なものです。大きなポイントになると思いますし、物流事業者に原価計算をきちんとやれということだと思います。

――  まずは意識の変革が必要ということですね。

小丸  そうですね。物流事業者は6万3000社もありますからね。なかなか厳しいものがありますが、それこそ意識の改革が必要になってきますね。

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