凸版印刷は8月10日、東京農工大学と複数のロボットの行動を最適化するアルゴリズムに関する共同研究を開始すると発表した。
＜「ピッキング倉庫における人とロボットの協働」のイメージ図（凸版印刷提供）＞
共同研究では、人とロボットの協働に向けて、マルチエージェントシステムを活用し、複数の自律的なロボットをAIカメラ、各種センサーやスマートフォンなどのエッジデバイスと連携させ、人の行動を予測するだけでなく、さまざまな状況の変化にも対応させる技術を確立。凸版印刷は、共同研究を通じてロボットとAIの活用を推進し、物流・小売・スマートシティなど幅広い領域で、人・ロボット・AIが協働できる社会を実現する。
具体的には、物流倉庫のピッキング作業で、人の動きを考慮した自動搬送ロボット（AMR）の搬送経路の最適化を目的とするAI技術に関する研究開発を行う。
「（1）ロボットとエッジデバイス用AIの開発」では、AMRやスマートフォンなどの各システム上で動作するAIを開発し、複数のAMRやエッジデバイス間で共有したさまざまな情報を利用して、各AMRが自律的に環境と状況を判断し、最適なルートをリアルタイムに動作することを可能にする。
「（2）ピッキング倉庫における実証」では、物流倉庫でのピッキング業務の省人化・省力化を目標に、（1）で開発したAIを活用したモデルラインを構築し、技術検証を実施する。
また、作業者が業務開始前に（1）を用いてさまざまな条件でピッキング作業をシミュレートし、作業計画を策定する補助ツールとしての利便性についても検証する。
実証実験では、凸版印刷が最適化アルゴリズムのAMRへの実装と、ピッキングシステムの試作を行い、実際にピッキング倉庫における評価実証に取り組む。
東京農工大は、マルチエージェントシステム、自動交渉、大規模合意形成支援システムといった研究に取り組んでいる藤田 桂英研究室が、マルチエージェントシステムを活用し、経路最適化アルゴリズム・シミュレーターの開発を行う。
今後、凸版印刷は、東京農工大と共同で、倉庫で人と協働する複数台AMRの経路最適化システムを開発し、社内業務の効率化や、外販サービスとして展開していくほか、マルチエージェントシステムを活用したサービスソリューションを、物流・小売り・スマートシティ向けに展開していく。また、AIとロボットの活用を推進し、産業と技術の発展に寄与していく。
