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経団連/2023年度規制改革要望、デジタコ、W連結トラック要望盛込む

2023年09月08日/3PL・物流企業

日本経済団体連合会は9月8日、「2023年度規制改革要望―日本経済にダイナミズムを取り戻す―」を発表した。

それによると、 基本的考え方として、ポストコロナという新しい時代が幕を開けたとして、コロナ禍を契機に、デジタル化は人々の行動変容を伴いながら、急速な進展を遂げている、としている。また、気候変動問題等、深刻さを増す地球規模の課題の解決に向けた取り組みによって、わが国産業を取り巻く環境は大きく変化している。

とりわけグリーントランスフォーメーション(GX)とデジタルトランスフォーメーション(DX)は、企業の事業活動を抜本的に変えるゲームチャンジャ―となりつつある。このゲームチェンジに企業が適切に対応していくためには、民間の努力はもちろんのこと、政府としても前例のない政策手段を通じて企業の後押しをしていくことが不可欠である。例えば、規制・制度の中には、技術進歩や経済社会の変化に迅速に対応できず、GXやDXを阻んでいるものがいまだに存在する。企業が創意工夫を通じてGXとDXを推進していくためには、時代にそぐわない規制・制度をスピード感をもって不断に見直していくことが欠かせない、としている。

そこで経団連は、会員企業・団体からの提案を踏まえ、今年度の規制改革要望を「GX・サーキュラーエコノミー(CE)」、「DX」、「人の活躍」、「成長産業の振興」4つの柱に沿って取りまとめた。

そのうち、「DX」の柱の中に「運送事業におけるデジタルタコグラフ普及に向けた技術基準の見直し」がある。2024年4月からトラック運転手の時間外労働時間の上限規制が適用されることから、運行管理の厳格化が求められている。そのためにはトラック運転手の労働時間の可視化が必要であり、政府が決定した「物流革新に向けた政策パッケージ」において、デジタル式運行記録計(デジタルタコグラフ。以下、デジタコ)の将来的な義務付けが提言された。

近年、技術革新や通信環境の変更によって、テレマティクス端末(自動車と通信システムを組み合わせて行う情報サービスで用いられる端末)はデジタコと同等の機能を持つようになっている。他方、デジタコにおいては2007年以降技術基準の抜本的な改正がされていないことから、技術革新等の変化に対応できておらず、メモリのデータ改ざんや破損を防止する観点から厳格な基準が設定されている。その基準確保のため、デジタコの価格は約20万円と高くなり、国土交通省の事故防止対策支援推進事業予算にて機器代の3分の1が国から助成されているものの、普及にあたっての制約となっている。なお米国では、デジタコの記録をメモリではなくクラウド上に保存することを認めており、低廉な価格(約2万円)で供給されている。

そこで、技術革新と通信環境の変化を踏まえて、デジタコの技術基準を見直し、米国と同様に記録の保存をクラウド上で認めるべきである。

これにより、オーバースペックとなっていたデジタコの機能適性化が進むことでその普及が加速し、適切な運行管理と「物流ネットワークの見える化」が可能になるほか、政府の予算削減にも寄与する。なお、デジタコの搭載によって進展する「物流ネットワークの見える化」は、政府が「フィジカルインターネット・ロードマップ」において目標に掲げる「フィジカルインターネット」実現の礎となるとともに物流の効率化や物資の安定輸送にも資する。

また「ダブル連結トラックの特殊車両通行申請手続のワンストップ化・迅速化」の要望では、トラックドライバーの人手不足が深刻化するなか、物流効率化の取組みとしてダブル連結トラックの導入が期待されている、としている。2024年6月、政府が決定した「物流革新に向けた政策パッケージ」においても、特殊車両通行制度に関する手続期間の短縮化やダブル連結トラックの導入促進が掲げられた。導入促進にあたっては、「特殊車両通行申請手続き」の負担軽減を図ることが欠かせない。

ダブル連結トラックは運転手1名でトラック2台分の荷物を運搬することができる車両で、道路運送車両法施行規則別表の1によって特殊車両に区分されている。特殊車両は道路を通行する際、道路法第47条の2によって特殊車両通行許可の取得が求められている。特殊車両通行許可申請の標準処理期間は3週間であるにもかかわらず、ダブル連結トラックの申請では通常8~14週間程かかっており、審査が長期化する理由についても不透明なため予見可能性、透明性が担保されていない。また地方公共団体を含む審査担当者によって、習熟度が異なるため個別の説明が必要な場合もあり、申請者の負担となっている。

特殊車両通行申請では2004年からオンライン申請が導入されているものの、ダブル連結トラックに限ってはオンライン申請に先立ち、「地方整備局」ならびに申請経路における各地方公共団体の「道路管理者」との個別の事前協議が必要である(関東から関西での運行の場合、約20者との事前協議が必要)。事前に約20者の公共団体と協議を行うとなると、コストと時間(4週間程)がかかるため、ダブル連結トラックの導入が進まない要因となっている。ダブル連結トラックと従来のフルトレーラ連結車(事前協議は不要)は連結全長が異なるだけで、積載重量や構造が異なるわけではないため、事前協議では基本的に交差点などで問題なく曲がれることを確認できれば良い。このため、旋廻軌跡図(交差点でトラックが問題なく曲がれることを示した図)を申請の際に添付できれば、事前協議を不要とする公共団体は多い。

そこで、1.ダブル連結トラックの「特殊車両通行申請手続き」について、事前協議を省略したワンストップ手続化を図るべきである。2.加えて、ダブル連結トラックを対象とした標準処理期間を新たに設けるべきである。3.仮に事前協議が必要と判断される場合には、ダブル連結トラックの通行許可申請(現状8~14週間)の処理期間が長くなる原因を精査したうえで、手続の迅速化に向けた有効な方策(地方公共団体を含む審査担当者の習熟度向上など)を検討すべきである。

これにより、ダブル連結トラックの導入が進み、物資の安定輸送や物流の効率化に寄与する、としている。

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