商船三井は5月16日、同社が参画するリトアニアおよびラトビアのCO2回収・輸送プロジェクトが、欧州委員会から「欧州連合(以下「EU」)のエネルギー政策・気候目標に貢献するEU域内の主要なエネルギー・インフラ事業 ‘Project of Common Interest’(PCI)」に認定されたと発表した。
このプロジェクトは、商船三井、そして同社が出資するノルウェーの船舶管理会社Larvik Shipping AS(LS社)、リトアニアの国営ターミナルオペレーターKN Energies, AB(KN社)、同国のセメントメーカーAkmenės cementas AB(Akmenės社)およびラトビアの建築資材メーカーSCHWENK Latvija SIA(SCHWENK社)の計5社で構成されるCCS Baltic Consortium(「当コンソーシアム」)が手がけるもの。
リトアニア・クライペダ港における液化CO2輸出インフラ構築を目的として、商船三井、LS社およびKN社が2021年に共同検討を開始。2022年よりAkmenės社およびSCHWENK社が加わり、リトアニアおよびラトビアの産業部門から排出されるCO2を回収し、陸上および海上で輸送し、地下に貯留するCarbon dioxide Capture and Storage(CCS)バリューチェーンの分析や実現可能性調査に取り組んでおり、2030年の操業開始を予定している。
今回の選定でPCIまたはEU域内外を繋ぐ事業に与えられる ‘Project of Mutual Interest’(PMI)の認定を受けた計166件のうち、CO2輸送インフラプロジェクトはこのプロジェクトを含めて計14件のみ。PCIおよびPMIの認定を受けることで、認定事業者だけが申請できるEUの財政措置であるConnecting Europe Facilityを始めとした数多くの支援を得ることができる。
なお、現在、リトアニアおよびラトビアでは、自国でのCO2貯留が禁止されているため、両国の企業は自社のCO2排出量自体の削減だけで脱炭素目標を達成することが求められている。ゆえにCCSバリューチェーン構築の果たす役割は大きく、両国のエネルギー・気候目標達成への貢献が期待されている。