プロロジスは9月27日、米国本社のハミードR.モガダム会長兼CEOが「プロロジスについて」、「世界の物流トレンド」を、日本のプロロジスの山田御酒社長が「日本の物流不動産トレンド」、「日本におけるプロロジス」について発表した。
<米国本社のハミードR.モガダム会長兼CEO(左)と山田御酒社長(右)>
数字で見るプロロジスとして、ハミードR.モガダム会長兼CEOが、プロロジスは、総所有・運用資産額は720億ドル、4大陸で展開している総延床面積を6363万m2、時価総額、AUM(総所有・運用資産)で物流不動産企業では世界最大と公表。
世界の物流不動産市場の最新トレンドとして、消費の伸び、サプライチェーンのビジネス上の至上命題化、在庫保管のトレンドの3点が物流不動産市場の需要を喚起していることを挙げている。グローバルの消費の伸びは続いており、サプライチェーンの再構築が需要を促進。
在庫保管の新しいトレンドが需要の追い風となるべく、小売売上に対する在庫率が減少していることを挙げた。
Eコマース売上の拡大が続き、2015年~2020年の間に期待される売り上げの拡大率は162%とし、Eコマースのカスタマーが必要とする物流施設の床面積は、店舗小売りのカスタマーの約3倍と分析。その理由を発送、パレット、高い在庫回転率、より幅広い商品の取扱い、リバースロジスティクス(返品)を挙げた。
このため、グローバルな物流不動産市場は今後も安定的な成長を続けると見ている。
山田御酒社長は、「国内物流不動産トレンドについては、2012年12月末の先進的物流施設の割合が全体の1.9%、2016年12月末が3.5%と上昇したものの、今後老朽化に伴う建て替え需要、EC普及率の成長余地、欧米の普及率からすればまだまだ成長を続ける」と見ている。
空室率のアップについては、首都圏では、2017年第2Qで5.1%が2017年の予測では2.7%まで減少すると見ている。近畿圏の大型物流施設は供給過剰と言われて2017年には18.4%程度まで高まるが、徐々に沈静化していくと予測する。以前のようにすぐ埋まることはないが、着実に竣工後1年以内で空室率が低下しているからだ。
2000年から2008年にかけては、倉庫の概念を覆す、効率が良く働きやすい施設の追求・標準化が求められている、として、ランプウェイの導入、柱スパン・トラックバース・天井高などの最適化を標準化、都心オフィスなみの働きやすい設備・環境を提供したとしている。
2009年から2014年にかけては、あらたな物流適地を次々と創出したことだという。圏央道沿線開発がその筆頭だ。さらには、施設のさらなる変化として、環境への配慮が図られ。CASBEE等の認証制度の取得、LED、太陽光発電など、環境負荷の低減を図る試みを続けている。
今後は工場用途、フルフィルメントセンターなどのマルチユースへのサポート体制を挙げている。そして、人手不足の現在に対応し、従業員が過ごしやすく働きやすいサービスの提供として、送迎用カーシェア、通勤用シャトルバス、無理用Wi-Fiや郵船放送、施設従業員向けのイベントなども開催している。
ハミードR.モガダム会長兼CEOは「今回、日本にきて感銘を受けた。それは、日本で開発した物流施設がとても優れているからだ。欧米では主に平屋か2階建てが中心だが、日本では多層階で、とても複雑な構造をしている。施設面やサービス、ソフト面でも、とても優れていると感じた。ただ、国、地域によりそれぞれの特色があり、歴史があるので、一概にどのような形態が良いとは言えない。日本は物流と言えば、製造業が長らく中心で商品を輸出する貿易立国だった。そのころ米国は消費大国で、倉庫のありようも当然違ってくる。米国ではトラックも大きく、コンテナも大きく、それらを収納する広さを持った倉庫でないと機能しない」と述べた。
なお、日本のプロロジスは2017年末で89棟の施設を竣工することになるが、100棟目について山田御酒社長は「100棟目ですのでエポックメーキングな物件にしたいが、現在のところ計算するとプロロジス猪名川プロジェクトになるのではないかと思う。途中に、新たな物件が入ることもあるので断定はできない」と話した。