国土交通省は12月23日、「2020年代の総合物流施策大綱に関する検討会」による提言をとりまとめ公表した。
検討会は学識経験者等で構成されており、次期総合物流施策大綱の策定に向けて7月から7回にわたり今後の物流施策の在り方を検討してきた。
今回まとめられた提言では、新型コロナウイルスの流行による社会の劇的変化で先鋭化・船名化している物流課題に対応した施策に重点的に取り組むとしたうえで、「物流DXや物流標準化の推進によるサプライチェーン全体の徹底した最適化(簡素で滑らかな物流の実現)」「労働力不足対策と物流構造改革の推進(担い手にやさしい物流の実現)」「強靱で持続可能な物流ネットワークの構築(強くてしなやかな物流の実現)」の3つの観点から取り組むべき施策の方向性を示した。
簡素で滑らかな物流の実現に向けては、「労働力不足の深刻化」と「非接触・非対面型物流への転換」を課題と目指すべき方向性とし、手続き書面電子化の徹底など物流デジタル化の推進や、物流施設へのロボット等の導入支援や隊列走行・自動運転の実現、物流DXを推進するための高度なスキルを持つ人材の育成・確保などを取り組むべき施策に挙げた。
担い手にやさしい物流の実現に向けては、「生産年齢人口の減少」と「トラックドライバーの時間外労働の上限規制」を課題と目指す方向性とし、標準的運賃の浸透やホワイト物流推進運動の推進、ダブル連結トラック等の活用支援などドライバーの時間外労働規制を遵守するために必要な労働環境の整備や、共同輸配送や倉庫シェアリング、再配達の削減、ラストワンマイル配送の円滑化といった労働生産性改善に向けた革新的取り組みの推進、女性や高齢者、外国人などを新たな労働力として確保するための職場環境の整備、オペレーションの定型化・標準化などに取り組むべきとした。
強くてしなやかな物流の実現に向けては、「大規模災害や感染症の流行等によるサプライチェーンの途絶」と「国際経済の不確実性やグリーン社会、カーボンニュートラル、SDGsといったアジェンダへの対応の必要性」を課題と目指すべき方向性とし、感染症や大規模災害等有事においても機能する強靱で持続可能な物流ネットワークの構築や、カーボンニュートラルの実現に向けたモーダルシフトのさらなる推進や荷主連携による物流の効率化、各輸送モード等の低炭素化・脱炭素化の促進などを取り組むべき施策として挙げた。