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業務止めずに「ニッポン上げろ!」
地盤沈下防ぐアップコン工法

2021年03月01日/物流最前線

<実際の施工の様子>
20210215upcon5 520x347 - 物流最前線/業務止めずに「ニッポン上げろ!」 地盤沈下防ぐアップコン工法

<注入ピッチ間隔の違い>
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<注入後の床下の様子>
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<従来工法との比較>
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アップコン工法の優れた特性

――  この完成した材料である「硬質発泡ウレタン樹脂」を注入して、床の傾きを修正するのがアップコン工法ですね。

松藤  そういうことです。ただしこの施工方法には大きな特長があります。硬質発泡ウレタン樹脂の注入ピッチの間隔です。弊社では1mピッチで施工しています。これには理由があります。例えば1mピッチより大きく間隔をとると、床に孔をあける労力も省力化できますし、注入する材料についても容量を抑えることができます。時間も短縮できます。しかし、1mピッチ以上のピッチだと隅々までウレタン樹脂が充填できず、ムラができた状態となり、その後の状況によっては床の沈下の可能性が残ったままになってしまうのです。

――  上から見ただけではわかりませんね。

松藤  そうです。1mピッチでも1.5mピッチでも完成時は同じように見えます。しかし、その後の状況によっては1.5mピッチでは再沈下の可能性が高いということです。結局2度3度と修正することになると、結果的に費用も高くつくことになってしまいます。初期の見積もり金額だけで判断されると苦しいのですが、なぜ高くなってしまうのかを丁寧に説明すると理解してくださる顧客も多くなってきました。

――  価格が高いということは営業面では苦労されたのでは。

松藤  確かに、弊社でも見積もり金額が高くなるからと、営業部門からもっとピッチの間隔を長く1.5mピッチにしようという提案がありましたが、それに対して技術部門から猛反対が起こりました。結局、今は苦しくても適正なやり方で進め、さらなる研究を続けようということになり、経営的には非常に苦しかったのですが、社員が一致団結することにより乗り越えることができました。

――  御社の進むべき方向性が定まったと。

松藤  社員が一致団結できたことで、進むべき方向性が決まりましたね。ただ、私どもの見積もり金額が高くなる点についてはもっともっと自助努力していかなければならない部分だと思っています。

――  材料と施工法という革新的な技術を獲得したわけですね。

松藤  さらに、その技術を扱う社員が弊社の誇りです。わが社の施工は全員正社員が実施しています。請負業務や契約社員による施工等の形態はなく、社員が全国を訪問して直接施工するわけです。ですので、仕事の質には厳しく各自が責任をもって施工にあたっています。施工管理の部分についても、公共工事などは大変複雑で、書類もたくさん必要ですが、人数をかけて丁寧に対応しています。また、これは門外不出の技術ですが、注入時に硬質発泡ウレタン材料がノズルから垂れないように独自の工夫もしています。お見せすることはできませんが、何度も試作を繰り返し、独自に完成したものです。これにより、施工が終わった後にノズルを引き上げても床に材料が飛散、漏れるといったことがありません。

――  トラック1台にすべての資材を積み、全国どこにでも出かけて施工できるそうですね。

松藤  150m2の施工の場合、この4トントラック1台、施工要員4人、これだけで工事はほぼ1日で完了します。このトラックには、発電機、材料が入ったドラム缶、材料を吸い上げるポンプ、注入機、ホース他一式を搭載しています。施工技術者の大きな工具箱ですね。

――  御社では研究開発も盛んと聞いています。

松藤  現場に赴く施工部隊は研究開発を同時に行っています。弊社ではまずは現場での経験と研究を同じ土俵で見ることが大切です。ですので、新入社員は早くても1~2年現場で経験を積んでからでないと、研究プロジェクトには参加させません。ただ、研究のテーマは決まっており、ウレタンに特化した研究を行っています。現在社内には、5つの研究チームがあります。

――  ウレタンに特化した研究というのも面白いですね。

松藤  通常ウレタンというのは気泡の形状がそろっているのですが、それをわざとばらばらの大きさにした研究もしまして、そうすると気泡部分に水分がたまることから、学校の屋上の緑化の土壌改良に使えるものができました。また、テラリウム用に研究を重ねた材料を熱帯魚の水槽の中に設置し、その気泡に植物の種子を植えると根付き立派に成長するなど、ウレタンの用途はさまざまな分野に広がります。

<アップコンの4トントラックの作業車の横で施工社員>
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<2台並んだ4トントラック>
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