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業務止めずに「ニッポン上げろ!」
地盤沈下防ぐアップコン工法

2021年03月01日/物流最前線

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古くは江戸時代から埋め立てによって必要な土地を確保してきた日本。現在の東京も江戸幕府が始まったころは湾岸部のほとんどが湿地帯や海だったところが多い。海に囲まれ、山間部の多い日本列島だけに、産業用地、住宅用地ともに海や沼、湿地帯の埋め立てや山間部の開発等に頼らざるを得なかった。しかし、東日本大震災で露呈したように、埋め立て地の地盤は一般的に軟弱と言われている。地盤沈下に対応して杭を打っていない古い倉庫には床が傾いているとか、でこぼこ状態になっているといった話はよく聞かれる。ならば床を改修すればよいのだが、建て替えや土台の杭を打ち直す等ではその間本業の業務が止まってしまう。床の改修を図るためだけに、業務を止めることだけは避けたいのが企業の本音。アップコンの技術は業務を止めずに床を水平に保つ「硬質発泡ウレタン樹脂」注入による建物のコンクリート床沈下修正工法だ。同社の松藤展和社長はこの技術を最初に日本に紹介した人物で、その後独立してアップコンを設立してからは、独自の材料研究から始まり、革新的な技術を磨いてきた。「ニッポン上げろ!」に込めた同社の想いを聞いた。 
取材:1月29日 於:アップコン本社

<工場内倉庫入口段差解消>

<実際に傾いた倉庫の様子>
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倉庫の傾きは大きなデメリット

――  業務を止めずに沈下した床を修復する画期的な工法ということで、松藤社長が書かれた「不良品が多い工場の原因は地盤が9割(幻冬舎)」を拝読しましたが、物流倉庫についての事例が数多く掲載されています。

松藤  これは、倉庫も工場も店舗も同様ですが、「傾いた床」のままで作業を続けていても決して良いことはないということです。床の傾きと同様に事業も傾くということで事例を多数挙げて説明したものです。倉庫の場合、荷崩れ発生の危険性が増しますし、そうなると商品の破損や保管量の減少にもつながります。フォークリフトの先端部分が平行にパレットに入らず破損するような場合もあります。いずれにせよ、作業効率が落ちるわけですし、さらには床の傾きやたわみにより、人間の三半規管や自律神経に影響を及ぼすこともわかっており、従業員の健康面からも床の平面性は大切なことです。

――  事例を読むと、思わず今いる場所の床や地盤はどうなのだろうと考えますね。床の沈下がどれだけ仕事の効率性や生産性を奪い、さらには人間の健康面まで左右するのか、ちょっと恐ろしくなりました。

松藤  これはほんの一例です。床の傾きにより、倉庫に収納する商品が破損したり、荷崩れが起きるため、保管量が減ったりすることは経営上のマイナスです。さらに、この場所で働いている従業員にも体調不良が発生することが確認されているわけですから、倉庫が傾くことは、事業自体が傾くと言っても決して言い過ぎではないと思います。床の傾きはまさにデメリットしか生みませんからね。

――  倉庫等の物流施設には床の傾きは実際多いのでしょうか。

松藤  著書にも書いていますが、まずは倉庫等が多く建っている湾岸部は軟弱な地盤の場合が多いですね。ほとんどが埋め立て地ですので、相当の杭を打ち込んでいないと床の傾きは防げません。東日本大震災でも見られたように、液状化現象も起こります。さらに、日本は世界一と言ってもよいほどの地震多発国ですからね。

――  床の沈下を防ぐためには、これまでは床のコンクリート打替えが一般的でしたね。

松藤  そうですね。床のコンクリート打替えだと、相当の工事期間が必要ですし、その期間業務を止めてしまうことになります。そのため、多少の傾きには我慢して業務を続けるといったことが多かったと思います。本当はすぐにでも床を修正したいのだけれども、その期間の業務停止に伴う損失が経営上重くのしかかってくるといったことが多かったのではないでしょうか。そこで、紹介したいのが、事業を止めず、モノはそのままで、確実に床を修正する方法のアップコン工法なのです。

――  倉庫内の荷物を動かさずにどのようにして傾いた床を修復するのですか。

松藤  それがアップコン工法の独特なところです。荷物や機械・棚類を動かすということは、その現場の作業を止めてしまいますね。アップコン工法とは、簡単に言えば何も動かさずに床に小さな孔を空けて「硬質発泡ウレタン樹脂」を注入してその発泡圧力でコンクリートと床を元に戻す技術なのです。

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